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●●しないと出れられない部屋の巻(12)【完】
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「…チェシャ」
「?」
チェシャは天花に名前を呼ばれて、再び首を傾げた。
「…キスしよう」
「!」
何度か思い出して、その度に後回しになっていたが、本来この部屋でのお題は『①キス』であってそれをすれば、部屋の外には出られる事になっている。
「じゃあ、もっとエッチに誘ってよ」
「なんだそれ」
天花は呆れた。
「だって!するなら…」
また、アホな事を言おうとしているチェシャの小さな顎を掴んだ天花は無理やり噛み付くようにチェシャに唇を重ねた。遠くで微かに『かちゃ』という金属の音がした。
「んっ、ふぁあっ、ぁんっんん」
準備が不十分な内に掻き乱して舐る。
お互いの舌が絡むのでも、快感に浸るのでも、気持ちを昂らせるでもない。ただ、口腔内を強姦するのが目的だった。
「はぁあぁ…」
唇と手を離すと、チェシャが熱い吐息を漏らしていた。
「…これでいいか?」
これでいいかも何も、強引にされてしまったんでは誘うも何もないが、チェシャは放蕩としていた。
「95点」
「何が正解なんだ。それ」
負け惜しみと捉えるとそれまでだが、チェシャの表情が満足そうだったので、合格点ではあったことは間違いないと勝手に解釈する。
「鍵開いたか?」
天花がチェシャに尋ねる。
「音してたけど…」
天花が起き上がって、ドアに近づいて確認する。ノブに触れるとドアが開きそうな気配がした。
チェシャは、ベットで天花の帰りをじっと待っている。
「どう?」
「…開いてるな」
天花がドアを微かに開けて外を確認する。
「?」
チェシャは天花の言葉を待っている。
「…」
天花の背中でチェシャはドアの外が確認できない。
「…どうしたの?」
微かに開けたドアを閉めた。天花の大きな背中で何があるのかは見えなかった。
天花はくるりと向きを変えてベットに近づいて腰掛けた。
チェシャは、天花の表情をじっと見つめる。
眉間にシワを寄せていた。天花は何かを考えているらしい。
「風呂場になってた」
「…」
ぼそっと独り言みたいに呟いた天花にチェシャは提案する。
「じゃあ、またセックスする?」
「は?」
チェシャを見る。
舌の根も乾かないとはこのことだ。
数分前まで気絶するほど達したくせに、まだ足りないのかと天花は呆れた。
「こんなに、いっぱい一緒にいられるなんて、なかなかないし」
チェシャは無邪気な表情を浮かべ、天花の『信じられない』という表情を揶揄って楽しんでいるようだった。
「あ、でも。ベットギシギシうるさいか」
「…」
そういう問題だろうかと、天花は混乱する。
お題通りの行動をとらなければ、部屋からは一生出ることはできないという状況に普通は焦って、どうしようかと考えるものではないのだろうか。
それを逆手にとって『キスをしなければずっとこのまま一緒にいられるのではないか』と、解釈をしたチェシャは頭がいいというべきか、悪いというべきか、天花には考え付かない。
「ねぇ、ゆきちゃん。とりあえず、お風呂入ろうよー」
「…」
警戒して考え込む天花の膝をつつく。
「ねーねー、お風呂はいろー」
「…」
とりあえず、危機管理に関してはチェシャの方が何倍も優れているという事にして、何か危険が迫ったら、きっと天花よりも先にチェシャの方が察知するだろうと思う。
そんなチェシャを見ると、下唇を突き出してせがんでいるので、やっぱり何か危機的な状況は迫っていないと推測する。
「…わかった」
天花は頷いた。
「やったー!じゃあ、お姫様抱っこして」
「はいはい」
天花が立ち上がる。チェシャの膝をすくって、隣の部屋に連れて行く。隣の部屋の風呂場は、入り口の他に出口があり、やはり、その下には封筒が置いてあった。
★END★
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