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第3章–2 だけど、結局はゴタゴタ。
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気分が乗らない。
沈んだ気持ちで出勤すると、他のメンバーたちもちらちらと恥ずかしそうに出勤してきた。
「なんだか照れくさいな」
「いつも係長のだらしのない恰好を見て、ああだこうだ言っているおれたちが」
「こんな格好をしてもいいものだろうか」
「同感です」
「つか、渡辺さん。何か悪いおじさんに見えますけど」
笑い出す矢部に、渡辺は「心外だ」とばかりに抗議する。
「何を言う!おれは真っ当な善良市民だぞ?ヲタクのくせに」
「ヲタクは関係ないじゃないですか」
「おれなんて骸骨だから、ネクタイで誤魔化していた喉元が目立って。みすぼらしいです」
谷口は、自分の悩みで精一杯。
全く二人の争いには気が付いていない。
「このヲタク」
「ちょっと太めの悪いおじさん!」
「骸骨……」
ネクタイを外し、軽装になっただけで、何故こんなにも揉めるのだろうか?
田口は笑うしかない。
自分の悩みなんて、大したことがなさそうだ。
ただ見慣れないだけ。
そんな悩みだから。
「おはようございます」
四人がそれぞれ好き勝手なことを言い合っていると、バンっと大きな音を立てて保住が元気よく顔を出した。
「おはようございます!」
「あ、おはようございます」
「おはようございます」
「おはようございます」
案の定。
彼は、いつもと大差ない恰好。
しかも、煩わしいネクタイがなくなり上機嫌。
「こんな時代が来るとは思わなかった。幸せこの上ない」
揉めていた一団のことなんて、無視。
いや、気が付いていないのだろう。
上機嫌だ。
まだまだいい足りない一同だが、保住の清々しい表情に笑うしかない。
「係長って、結構。時代を先取りしてますよね」
「まったくだ」
四人は顔を突き合わせて大きくため息を吐いた。
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