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第6章ー3 変わった理由
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頭が痛む。
人に嫌なことをぐずぐず言われるのには慣れているつもりだが、自分の自己管理が出来ていない部分を指摘されるのは面白くない。
分かってはいるのに。
興味がないせいか、いつもそうなってから後悔する部分。
学習能力がないと言うか。
何と言うのか。
仕事のことだと、気を回して熱心に取り組む自分だが、人との関係はいい加減だ。
昔からそう。
家族との付き合いも当たり障りないものだし。
友人との関係もそうだ。
その場限りが多い。
頭もいい、顔もいい。
人柄だってそんなに悪くはない。
昔から黙っていても、自分を利用しようとする人間が必ず寄ってきていた。
だけど、そういう人たちへも大して心を開くことができないせいか、その場限りの付き合いばかり。
小学校の友達は、中学校に進学すれば離れていく。
中学校の友達も然り。
高校生になったら離れた。
高校の友達も然り。
大学進学と同時にさようならだ。
大学時代の友人、いや、知り合い程度か。
そういう人たちは、たまに年賀状のやり取りをすることもあるが、それだって面倒で途切れている。
一方的に送ってくれる人がいるくらいの話だ。
友人関係もそんな感じだから、女性関係なんてもっと酷い有様だ。
一晩限りの女性は何人もいる。
保住の学齢と、ルックスに引かれて寄って来る女性たちも、彼の無頓着でずけずけとした物言いに、すっかり愛想を尽かして「さようなら」になることが多い。
大して好きでもないのかも知れない。
去る者は追わず。
来るものは拒まず。
そんな感じ。
市役所に入ってからも、酔って一晩限りの関係を持った女性が数人いる。
記憶にない。
だから嫌われる。
だけど、すぐに次の女性が寄って来る。
それの繰り返し。
澤井は、そのことを言っているのだろう。
自分で何とかしたいのに。
グダグダ。
自己管理が出来ていない部分だ。
それは、仕方のないことだと思って諦めていた。
直す気もなく。
だけど。
ここ一年。
そう言う事が無かった気がする。
そう。
保住にとったら、その程度の話。
いつ、誰と、どこで。
そんなことを覚えている程のことでも無いくらいの出来事。
だから、うろ覚えだけど。
どうでもいい女性と関係を持ったのは、ここ最近はない。
おかしいものだ。
何が彼を変えたのか。
分からない。
自分で自分のことが一番よく分からない。
ただ、プライベートのことを澤井に踏み込まれるのは嫌だった。
文化課の扉に手をかけて、ふと保住は思う。
「ああ、そうか」
変わったのは。
田口と出会った事?
田口と過ごす時間が増えて、そう言うどうでもいい事って減った気がする。
何だか笑ってしまう。
こんな事ってあるのだろうか。
保住は、扉を開いた。
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