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第7章ー2 会議バトル
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朝一の会議は散々。
保住が妙に突っかかるせいで、澤井とのバトルが長引き、昼に食い込んだ。
「この声楽家の集客率は8割を切ります。そんな声楽家を目玉に据えても集客は見込めません」
「しかしだな。予算が」
「合唱団を市民合唱にすることで経費を抑えているじゃないですか。あちこちに予算バラマキでは、メリハリがなさすぎます」
ほぼ、サシの会議で、他の職員たちは、ぽかんとして二人のやりとりを眺めているだけだ。
「なに肝に小さいこと言ってるんですか?あなたらしくもない!」
「そうは言うが、管理職としてリスクの管理はしなければならない。我々は、リスクは最小限に最大の功績を得なければならないのだ。他に得策がないのかもっと検討しろ」
澤井は苦い顔をする。
「次の副市長の席がかかっていますからね。冒険はお嫌ですか」
保住の嫌味に澤井は、目を細める。
「今回の事業は成功では意味をなさない。大成功ではないといけません。そうでしょう?局長」
保住の誘うような視線に絡め取られて、澤井は一瞬、言葉を失いかけた。
しかし、飲まれることはない。
それだけ強靭な精神力があるのだろう。
目を瞬かせてから田口に手を出す。
「予算書を見せろ」
ぼんやりしていた外野の職員たちは、はったと顔を上げる。
田口は、自分が担当している予算書案を澤井に手渡した。
「メインボーカルを宮内さんにした場合の予算書です」
腹に力を入れなおして説明をする。
「この場合、会場を市運営の公会堂に変更して予算を押さえました。また、集客の力にもなりますので、合唱団は市民合唱団にしてあります。ただし、ノーギャラとはいきませんので、このくらいの予算は取っています」
澤井は目を血走らせて予算書を見つめている。
「オーケストラの質は落とせません。プロは無理でも地方プロオケのオーダーは必須ですが、ここが一番のコスト高かも知れません。ただし、星音堂への打診次第では、経費はそちら持ちにしていただくことは可能かと」
「星音堂に予算をとらせると言うことか」
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