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(だったら俺が兄ちゃんと結婚してやる!だから心配すんなよ!大丈夫だから)
懐かしい声。
何故こいつがこんなことを言うのかはわからなかった。
でもこいつが大丈夫と言えば
本当に大丈夫な気がする。
もう何年前だろう。
この時は辛かった。
まだ大学生なのに親から結婚しろと執拗に迫られて
俺は困っていた。
好きでもないやつとなんで俺が結婚しなきゃならないんだ…と。
そりゃ会社を継いで
またその継ぐやつを…ってのはわかる。
けど…
「なぁ、どしたんだー?」
7つも年下の餓鬼。
こいつは近所に住む
一般家庭の子供。
いつからかこいつは俺によく"なぁなぁ!"と話しかけてくるようになった。
「なぁー、どうしたんだよー?」
制服姿で…学校帰りか?
「……好きなやつができたわけでもないのに結婚しろって親に言われてさー」
「結婚ー?」
不思議そうな顔をしながら
俺の座っているベンチの隣に座るこいつ。
「そ。結婚。結婚しろって言われて、相手を知らないやつにされる前に見つけようと思ってるんだけど…見つからないし…」
「ふーん」
「お前だったらどうする?」
「えー…そんなのわからないよ。俺好きな人いるし。」
「おー、初耳。」
「そりゃそうだろ。言ってないもん。」
「どんな人?」
「んー、かっこいい系で強そうな人?でもなんか弱そうで…優しいやつ」
そう話しながらこいつの顔が赤くなっていくのがわかった。
こいつにそんな人がねぇ…
ってか、年上か?
お姉さん系好きそうだもんな。
「あ、でもさ、そういうのの結婚相手ってめっちゃ美人なんじゃないの?」
「いや…そうだろうけど…お前、初めて会った相手と結婚なんてできるか?」
「あー…」
「仲いい奴ならまだしも…俺どうなるんだろう…」
「だったら俺が兄ちゃんと結婚してやる!だから心配すんなよ!大丈夫だから」
「……は?」
「俺らもう仲良しじゃん!」
「…あほか」
にへらっと笑いながらそんな馬鹿みたいなこと言うもんだから
俺は思わず笑ってしまった。
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