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それから俺は
あの時の記憶を"甘酸っぱい少し遅れてきた青春の思い出"ということにして
脳裏にしまうことにした。
連絡先も名前すらも知らない相手を探せるはずがない。
諦めたくなくても諦めるしかなかった。
あれから約7年。
あいつの顔を見た最後の日から約10年。
家に行った時から5年くらい経った辺りで
やっとあいつのことをあまり考えなくなった。
どんどん薄れていく記憶。
記憶の奥底に埋れていった。
なのに
そっくりな奴が目の前に現れた。
それが佑翔だ。
最初は気が付かなかった。
ただの美容師見習い。
そう思っていた。
けど…
ふと見た時のあの顔が
忘れられなかった泣き顔にあまりにも似ていたから。
また思い出してしまった。
埋れていたはずなのに、鮮明に。
"なぁ!"と言ういつも話しかけてきていた声と"なんで!?"と言う最後のあの必死な問いかけも全部。
見た目はかなり違う。
顔はあの時よりも男臭いような気がする。
身長も全然違う。
声も違う。
声変わり途中の微妙な高さの声じゃない…。
黒髪だったはずなのに、明るいグレーのような色。
手もゴツゴツしているし
筋肉もついてる。
あんなに小さくて華奢だったのに
でも、これだけ年月が経てばおかしくはない。
俺ももう32。
あいつは25ってとこか。
もうそんなに経ってるんだな…と改めて感じる。
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