アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
69
-
暗闇の中
あれ…ここどこだ?
と周りを見回す。
よく目をこらすと何も無い空間の中に
1人の人が立っているのが見えた。
誰だろう?
「あのー…」
恐る恐る声をかけてみるも
何も返事は返ってこない。
少しずつ近付いて
その正体を確認する。
何故か顔だけがぼんやりとしか確認できない。
この人なんか見たことある気がする…
けど、顔がわからない。
じーっとこちらを見ている気がする。
「あの…」
「じゃあまたな…」
「あのっ!」
聞いたことのある声。
その人物が声を発した瞬間、顔が鮮明になった。
「兄ちゃん!」
俺に背を向けて歩き出す影。
「待って!兄ちゃん!!」
走って追いかけているのに
どんどん離れて行ってしまう。
と同時に、色んなことを思い出す。
過去のことを。
「待って!置いてかないで!」
必死に呼びかけても振り向いてすらくれない。
…俺、好きな人…いたことあるんだった。
あんなにも大好きで
でももう会えなくて
俺に大きな傷をつけていった人物。
名前は知らないけど。
忘れようと必死になってて
ずーっと忘れられなくて
でもいつからか考えないようになれた。
なのに…
「兄ちゃん!!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
70 / 196