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その言葉を聞いた瞬間
ブワッと堪えていた涙が溢れ出した。
心の中では必死に否定していて。
こいつじゃない。もう会えるはずがない。
何かのイタズラ。
そう思っているのに
涙が止まらない。
「佑翔。」
「っ…、っ…ぅ…」
「…悪かった。ごめん。」
思考も追いつかなくて、ただ苦しくて
息もまともにできない。
「…っ…にい……ちゃん、っ…?」
「あぁ」
「うそ…だっ…」
「嘘じゃない。」
近付いてきた禅が手を伸ばし
俺の頬に触れる。
俺の涙を拭うように頬を撫で
体は少し強ばる。
「佑翔」
「っ…、…っ…」
言葉が出ない。
何を言ったらいいのかわからない。
頭の中はぐちゃぐちゃで
とにかく苦しい。
「言っとくが、俺は会いに行ったからな。だいぶ遅くなったけど。」
「え……」
「当時の飛行機のチケットとか半券とか、まだ残ってる。見るか?」
禅は優しい顔をしてる。
あいつである証拠があることと
会いに来てくれていたという事実…
そして柔らかい表情のせいで余計に涙が溢れてくる。
「ほら、そんな泣くな。」
「んッ…!?」
ふわっと微笑み禅の顔が近付いてくると思ったら
軽くキスをされた。
チュッ…と可愛らしい音が鳴る。
「…止まったか?」
これ……
あの時もこうやって……
ボッと顔が熱くなった。
さっきとは違う胸の苦しさが…
「あ……えっと……」
「佑翔…久しぶり。」
そう言ったかと思ったら
また禅の顔が近付いてきた。
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