アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
81
-
いつの間にか消されているテレビ。
静かな部屋の中に
少しいやらしい水音が響いてる。
「は、ぁ……っ、んん……」
俺の舌に絡められる禅の舌。
俺はそれに応えるゆとりなんてなくて
体をふるふると震わせながら
禅を感じることしか出来なかった。
「佑翔…」
愛おしそうに名前を呼ばれ
さっきまで頭が真っ白になっていたのに
ドキッとしてしまう。
冷たい手が頬に触れて。
そういえばあいつの手っていつも冷たかったな…
なんて昔のことを少し思い出していた。
「にい……」
「名前で呼べ。」
「……ぜ、ん…」
「…ん?」
「あの…俺、もう…限界……」
「…なにが?」
「…………死にそ…」
「死なねぇよ。」
「も、無理…ほんと…」
息も絶え絶えで
なんとか言葉を絞り出す。
こんなにも近くに大好きだった…いや、多分今も大好きな奴がいて。
というより、好きじゃなかったらこんな………ならないよな…
目は泳ぎまくりで
呼吸もままならなくて
心臓も破裂しそうで
もはや全身が脈打っていて…
本当に死にそうになってる。
「ちょ、、っと…一旦…はな、して…」
俺がそう言うと
俺に覆い被さるように寄ってきていた禅が
やれやれ…という顔をして少し離れ
普通に座った。
俺はその瞬間、顔を手で押えて
ソファーにそのまま押し付けた。
そして"はぁーーーーーー…"と息を吐いた。
どうにか落ち着こうとしてるのに
全然落ち着けないし…
「というよりお前さ、気付くの遅いんだよ。」
「そ、そんなこと言われたって…」
本当は自ら気付いて欲しかった禅。
でも禅も禅でかなり焦っていた。
あの"三上 晶"という存在が現れたから。
あんなにも堂々と宣戦布告をされ
且つ、いつも佑翔の傍にいる。仕事だけど。
だから万が一…。
揺らぐ前にほぼ答えを言って気付かせた。
"誰にも渡したくない"その想いが強かったから。
「つ、つーか…あんた昔、今ほどイケメンじゃなかったし!!」
勢いよく振り返りそう言った。
だって本当に…ここまでかっこよくなかった気がするから。
綺麗でかっこよかったけど、ここまででは…
「ほう。」
ふっ…と禅が笑う。
その瞬間、ハッ!と自分の言ってしまったことのせいで恥ずかしくなってしまった。
今の言い方じゃ、"お前かっこいい!!"って
"昔よりもかっこよくなってる!!"…って、
面と向かって言ってしまったのと同じだから。
「い、いや……あ゛〜…」
「可愛いな。」
「うるせぇ!黙れ!!」
「ほんと…随分口が悪くなったな。」
クスッと笑ってそう言われ
前に車に乗って話してたときにも同じことを言われた…と思い出した。
あの時の"口が悪くなった"は
仕事時と今が…じゃなくて
昔と今が……ってことだったのか…?
と、今更理解する。
言われてみれば
当時のあいつと似たこいつの顔。
だいぶ大人になっていて
フェロモンむんむん感はかなり出ているけど…
……10年でこんな変わるもんか…
「なんだ?」
少し離れた所からチラッチラッと見ることしか出来ないけど
見ていたら少し微笑んでそういう禅。
「べ、べつに…」
「もう"一旦"は終わりでいいか?」
「だっ!だめ!!つか、もうちょい離れろ!」
「なんで?」
「なんでなんでばっかじゃねぇか!なんでもだって!!」
禅の言う"なぁ"も"なんで"もどっちも
佑翔のよく言っていた言葉と、最後の必死になっていた時の言葉で
禅の中に声色まで鮮明に残っていた単語。
思い出させるきっかけになれば…と思ったのか
佑翔への想いが強かったが故に…なのかはわからないけど
禅の口からもよく出る言葉。
ただほぼ教えたようなものだとしても
思い出してくれて
覚えていてくれて
禅は幸せを感じていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
82 / 196