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「もういーじゃん。じゃあね」
「待ってよ。僕の気持ちは聞かないで行くつもり?本当に最初から騙してたなら、せめて僕の気持ちくらい全部聞いてから去ってよ。」
真剣に…対等に…
僕が話しかけると先輩は口の中を軽く噛んでいるのが見てわかった。
下唇の裏辺り…
我慢してる。
なんで…
「はいはい。じゃあ話したら?」
「…先輩、僕は先輩が好き。本当に。」
「だから?」
「先輩も僕のことが好きだよ。」
「はい?」
「もうバレてるよ。嘘吐いてるのも。自分だけ傷付けばいいって思ってるのも。」
「何言ってるの?」
僕とは目を合わせない。
頑なに。
わかる。何故か僕には先輩が嘘を吐いてることも我慢しようとしてることも。
今までどれだけ先輩のことが好きで
先輩のことを見てきたと思ってるの?
「こっち見てよ。」
「いやもう意味わかんなーい。帰るー。」
「いいよ…帰っても。僕の目を見て、僕のことが最初から好きじゃなくてずっと騙してたって言えるなら。」
「………。」
「ねぇ、晶。」
帰ろうと再び背を向けた先輩の名前を呼んだ瞬間、体がピクッと反応した。
名前呼ばれるの…好きだったもんね?
名前を呼ばれるのは嬉しいんだもんね?
きっと何か特別な意味があるんでしょう?
「なんなの……」
声も少し震えてる。
僕の"好き"を見くびらないで。
「僕の目を見て言ってみてよ。晶。」
「………。」
「僕は好きだよ。ずっと…ずーっと晶のことが好きだったよ。でも晶は騙してたんだよね?」
「………。」
くるっとまたこちらを向いて
ついに先輩と目が合った。
「…そうだよ。俺は航を騙してた。ずっと…好き、じゃ…なかった……」
「……そっか。」
「……っ、」
「まだ…帰りたい?」
「……………っ、う…」
「ねぇ、晶…好き…。」
「どう、して……」
手をのばして、少し冷えた頬に手を当て
親指で涙を拭ってやる。
再び視線がそらされた。
でも…僕の手に少し重みがかかる。
「これが最後。もう一度だけ…もう聞かないからこたえて?………僕のこと、もう好きじゃない?」
「………………。」
「好きじゃないなら、もうほんとに今後晶とは関わらない。」
「………………。」
「……どっち?」
「………………好きじゃない…
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