アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
04 雨の日の再会2
-
「最初の頃は、ただのクソ生意気なガキだったのにな」
吉田をからかっていた尾形も妙に納得するように頷いた。
蒼は、黙ってみんなの様子を見ていた。
自分は、彼とそんなに親しくないし。
しかし、そうしていると星野と視線が合う。
「は?」
なんで見られているのだろうか?
どきっとしていると、彼は意地悪な笑みを浮かべた。
「なあ、蒼は知ってるんだろう?関口が来ない理由」
一斉に同僚の視線を受ける。
「は!?おれですか?」
とうとう来た!
いつかは何かしら言われるのではないかと思っていたのだ。
休んだあの日。
蒼は朦朧としていたので、欠勤の連絡を関口がしてくれていた。
あいにく、電話の主は星野だったと言う。
そういう面白いことを知って、放っておく人ではない。
あの日以来、星野は何か変な疑いを掛けているようで、関口の話になると意地悪な視線を向けてきていたのだった。
なにか聞かれたりしたわけではないのだが、二週間も経ち、とうとう痺れを切らしたらしい。
直接攻撃だ。
「さ、さあ。おれもよく分かりませんけど……」
「あれれ?なんでだ?知らないのか~?」
大げさなリアクション。
わざとらしい……。
にやにやして意地悪全快の顔だ。
もたもた答えられないでいると、目の前の吉田が身を乗り出してきた。
「え~?もう関口と友達になったの?あいつ気難しいから、なかなか打ち解けてくれないのに。おれなんて数年かかって今の状態なんだけど?」
そうだったのか。
確かに。
あんな調子じゃ気軽に打ち解けられるようなタイプではない。
「それはお前、蒼のほうが年齢も近いからじゃないの?」
「そんな~!おれだって十分若いつもりです!」
尾形の言葉に吉田は、ぶうぶう文句を言う。
毎回、お決まりのパターンである。
ぎゃあぎゃあ騒ぎが大きくなりそうなとき、水野谷の声が飛ぶ。
仕事に戻れと言う合図だ。
「お前たち。今週末に大ホールイベント入ったからな。誰だ?週末当番は?」
心当たりのある週末担当組二人。
星野と高田が顔を上げる。
「まじっすか!課長」
「まじっすよ」
水野谷は、苦笑して利用届けを高田に渡した。
「しかも、夜間な」
「げげ~。早く帰れると思ったのに……。とほほ」
そんな二人の様子に、事務所からは笑いが洩れる。
蒼も話が逸れてほっとした。
笑顔を浮かべ、そして降り続けている雨に視線を向ける。
あれから二週間。
関口は、どうしてしまったのだろうか。
自分が何かしてしまったのではないかと思う。
今までは、週に二回、火曜日と木曜日に通ってきていたのに。
もしかしたら自分の風邪をうつしてしまったのではないか。
そんな心配も過ぎった。
なんだか心配だ。
お礼をしたいが、どうしたらいいのかも分からないし。
それに本人が顔を出さないのではどうしようもない。
携帯の番号を交換したわけでもないし。
彼が来ないことには、自分にはどうしようもないことにため息が出た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 869