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04 雨の日の再会3
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その日。
日誌を整理して、鍵の確認をし、そして消灯をする。
いつもの日課だった。
「消灯終了しました!」
蒼の言葉に日誌をまとめ終わった吉田も嬉しそうな顔をした。
「今日も一日、お疲れさんだな~」
二人は揃って喜ぶ。
「おいおい。そんな喜んでいる暇があったら、さっさと帰ろうぜ」
荷物を抱えている星野は呆れていた。
今日は三人。
蒼と吉田が遅番。
星野は、残業で残っていたのだ。
三人は連れ立って帰宅に就く。
外に出ると日中の雨はやんでいた。
「飯でもくってくか?」
星野の言葉に二人は賛成する。
星音堂の独身三人組である。
仕事以外の付き合いはそんなにないものの、どうしても帰宅時間が遅かったり、一緒になったりするので夕食だけはよく食べに行っていた。
そして、一緒になるのはこのメンバー。
一緒にご飯を食べたって、大した話をするわけでもないけど、事務所以外で打解けて話せる相手がいると言うことは蒼にとったら嬉しいことだった。
今日もいつも通りだ。
何食べようかな?
お腹空いちゃったな~。
蒼は、にこにこしている。
そんな様子に吉田は、苦笑した。
「食べ物のことになると元気になるんだから。仕事中は死んだ魚の目をしているクセに」
「酷いです!おれだって一生懸命、虎が獲物を狙うが如くギラギラして、仕事しているじゃないですか~」
「それは言いすぎだろうが。お前が虎?大きく見積もっても猫止まりだろうな」
星野は豪快に笑う。
本当に酷い先輩たちだ。
蒼は、返す言葉もなくもごもごしていた。
「それに蒼は病み上がりだろうが。大丈夫なのか?早く帰ってゆっくり休んだほうが……」
「吉田さん!要らぬ心配です!」
偉そうに……と吉田は呆れた。
「蒼は一回患うと長いんだから。喘息もあるからか?」
星野は昔、ちらっと話したことのある喘息の話を持ち出した。
「よく覚えていますね。星野さん」
「おれは、記憶力がいいんだ」
「それはストーカーって言うんじゃないですか?」
吉田の突っ込みに星野は爆笑する。
「あのねえ。ストーカーって言うのはああいうのを言うんだからな!」
星音堂の前の道路を指差す星野。
二人はビックリして一斉にその方向を見つめる。
そこには。
黒い車。
そして長身の眼鏡の男がいた。
男は車によりかかり、腕を組んでこちらをおかしそうに見ている。
「ストーカーだなんて失礼ですね。星野さん」
「関口……」
彼の姿を見たらなんだかほっとした。
しかし、そんな自分の心の変化に蒼は気付いていない。
「こんばんは」
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