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04 雨の日の再会8
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「関口、お金ないの?」
担当直入な蒼の問いに、彼は苦笑して大きく頷いた。
「そうだな。ないと言えばない!」
「なんで~?あんないい車も乗っているし、こうして自由奔放に生活してるじゃない」
「だからないんじゃないか」
「そうかな」
「そうなの」
いつまでもおかしそうに彼は笑っていた。
「自分の財布の中をお前に言うのもなんだけど。はっきり言って収入は少ないんだから。プロオケからもらう報酬もそんなにないし。市民オケはアマチュアだから収入はないだろう?演奏家って言っても実績もなにもない状態だから仕事は皆無だし。講師を引き受ければある程度の決まった収入は得られるけど、それも保障はない」
「大変なんだ」
「公務員とは違うんだから」
そっか。
自分は、こういう安定した仕事しかしたことがないから分からないけど。
自分のやりたいことを貫くってことは大変なことなのだと思う。
芸術家は苦労しそうだ。
「どうするの?資金がなければ生活は難しいじゃない」
「そこなんだ。問題は!で、数日、いろいろ考えたんだけどさ」
「うん」
「いいアイディアが思いついたので相談に来たんだ」
「うん」
「……」
「……なに?」
なんだ?
蒼は、しびれを切らせて声を上げる。
「お前と一緒に住むことにした」
蒼は、ぽかんとする。
「は……っ!?」
唐突過ぎて言葉も出ない。
絶句と言うやつだ。
そんな蒼の反応を愉快そうに見て彼は言い放つ。
「二人で住めば、全て半額だっ!一石二鳥!!」
勝ち誇ったかの如く笑う彼を、しばらく見つめて我に返る。
「ちょ、ちょっと~!ちょっと待って!一石二鳥の意味分かんないし!おれのプライベート時間はどうなる?この部屋の広さで男二人なんて無理ありすぎだよ!!」
「それはお互い様だろうが」
そういう問題か!
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