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05 二人5
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二人がやってきたのは施設内で唯一の喫煙所。
中ホールの入り口になっている2階フロアの広間。
本日は、誰も利用する予定になっていないので静かなものである。
日中でもホワイエにはうっすらとした光しか差し込まない。
ぼんやりした橙色の光が暖かく感じた。
ソファに座り煙草に火をつける彼の横顔を見て緊張する。
何を聞かれるのだろうか?
予想を立てて、心構えをしておかないと。
きっと、関口とのことだ。
彼は、どう勘違いしているのか?
蒼は挙動不審だ。
紫色の煙を見つめて思考を巡らせていると、星野が口を開いた。
「で?」
ふ~っと煙を吐いてから蒼を見る。
「お前ら出来てんの?」
「ぶっ!」
予想外の質問に、思わず吹き出す。
「汚ねえなあ」
星野は、おかしくて笑っている。
だけど、蒼にとったら心外な話だ。
「でででで、出来ているって!!どういう意味ですか!?星野さん」
「どうって。そのままなんだけど?」
混乱してしまう。
心構えもなにも、あったものではない。
目眩がした。
「おれたちのことそんな風に疑っているんですか!」
「どうなんだ?」
なんだか、そう考えたら恥ずかしい。
全然そんなことは無いのに……。
会話だってしていないし。
お互いのことだって知らないのに。
蒼が彼と一緒に住んでいるのは関口の一方的な押し掛け、なのだから。
だけど、関口が貧乏で生活も成り立たないなんてことは、星野には秘密だし。
どう説明したら彼に分かってもらえるのか?
蒼には、ピンチを脱出するような器用な頭はない。
なんと言えば二人の同棲を疑われずに説明できるのだろうか。
一人でおろおろして、そしてどうしようもなくなって星野を見た。
「あ、あの……」
彼は、ただ黙って蒼を見返していた。
どうしよう。
「あ、あああ、あの。家がここから近いですし……」
顔が真っ赤になってしまい、呂律も回らない。
もごもご言い訳を並べる。
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