アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
07 決意の休日4
-
自宅に帰ると、さっそく蒼のエプロンをしてキッチンに立つ。
ふんふん上機嫌な彼を見ていると、なんだかますます不安になった。
蒼は、本を開いてじっとしていたが、とても気になって仕方がない。
「なにか手伝う?」
顔を出してみると、彼は首を横に振った。
「大丈夫だって。座っていれば」
「だって……」
心配だ。
蒼は、ため息をついてテレビの前に座る。
急になんなのだろう。
優しいってことは、なにかあるに違いないのだ。
なんだろう?
いろいろ考えるけど思いつくことは一つ。
もしかたら、やっぱり別なところに引っ越すとか言うのかも知れない。
ここは狭いし。
自分と彼との生活パターンも違うし。
生活しにくいとか?
日中、彼にはいくらでも新しい居住地を見つける余裕はあるのだ。
資金がないと言ったって、田舎のアパートは格安である。
どこか探せないこともないのだ。
なんだか嫌だった。
せっかく馴染んできたのに。
彼のいる生活が終わりになると思うと、なぜか不安を覚えた。
なぜ?
なんでこんなことを考えているのだろうか?
変な焦燥感に駆られたら、どきどきした。
手を握り締めて俯く。
「蒼?」
びっくりして顔を上げると、関口は不思議そうな顔をして立っている。
手にはお皿を抱えていた。
「なに?どうしたの。泣きそうな顔をしているぞ?」
「え?」
自分ではそんな自覚はない。
わたわたして座りなおした。
「なんでもない!疲れただけだ。それより、出来たの?」
「じゃ~ん!圭様特製のカルボナーラパスタだ」
「け、圭様って?」
堂々とパスタを出したのに。
蒼は、変なところに食いついてくる。
「は?」
「えっと。関口って圭って言うんだ」
そういえば!
よくよく考えるとちゃんと自己紹介をしていないことに気づく。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
43 / 869