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08 安寧のとき1
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決意。
自分に対して決めたこと。
自分が乗り越えなくてはいけないものがある。
それは誰かに、代わりにやってもらうものではないのだ。
自分が自分で、なんとかしなければならないものなのだ。
関口は、嫌いなものがある。
その一つがコンクールと言うもの。
しかし、自分が一人前の音楽家になるためには乗り越えなくてはいけないもの。
子どもの頃は、なにも分からなかったから、いくつものコンクールに参加していた。
自宅には所狭しとトロフィーが並んでいる。
両親も喜んでいたものだ。
あといくつ増えるかしら?
母親の朗らかな笑顔が思い出される。
しかし。
それは、ある時を境に増えることはなかった。
あの男。
あの男との出会いが彼をコンクール嫌いに仕立て上げた。
その男がやってくる。
乗り越えなければならない男が来るのだ。
コンクールの要綱を見て衝撃だった。
このチャンスを逃す手はない。
やるしかないのだと心に決めた瞬間だった。
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