アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
11 口づけ4
-
視線を上げて扉を見つめていると、豪快に開け放たれた扉から関口が顔を出した。
「蒼!本当、馬鹿っ!」
彼は、怒っているような口調だけど、表情は違う。
心配しているような、そんな顔。
「関……口?」
そこにいたのは、紛れもない。
会いたかった人。
自分から出てきたくせに。
たった一晩離れただけなのに。
彼を見ただけで涙が溢れる。
「……関口?」
すっと伸びてきた彼の腕が、蒼を引き寄せる。
「早く戻ってこいよ。蒼」
関口の腕は温かい。
一晩、病院に一人でいたからなのか?
病気のせいなのか?
人の温もりが恋しい。
いや。
関口に逢えたことでほっとしているのだ。
ずっと気になっていた。
練習は進んでいるのかな?
食事はしっかり摂っていただろうか?
「ごめんね関口。おれ、早く元気になってコンクール見に行くからね」
関口の背中に回された蒼の手の感触。
ぎゅっと握られたその手を感じると、彼への想いを押し殺すことは困難に思えた。
蒼が愛おしい。
もう、我慢なんて出来そうにない。
「ごめん。蒼」
「え?」
ふと背中に回っていた彼の手が、蒼の顔を優しく包む。
顔を持ち上げられて視線を上げると、彼はまっすぐに蒼を見ていた。
「な、なに?」
なにが。
起きようとしているのか……。
「ちょ……っ?」
「蒼」
頬に添えられている手に力が入ったかと思うと、ぐっと関口の顔が近くなる。
瞬きをして呆然としている蒼の唇に、関口の唇が重なった。
「は……っ?」
彼がなにをしたのか、しばらくは理解できない。
「ごめん。蒼」
「関口……?」
一度離れた唇。
関口は眼鏡を外し、蒼をベッドに押し付けると、今度は深く口付けをした。
めまいがした。
思わず関口の腕をぎゅっと握る。
入り込んでくる舌。
緊張して身体は固くなる。
ビックリしたけど、抵抗すると言う気は起きない。
寧ろ、与えられる感触に酔いしれる。
ざらついている舌の感触。
「んっ、……んん」
しかし、今の蒼には負担が大きいようだ。
普通にしていても呼吸が苦しいのに。
口をふさがれて息苦しさは増した。
目の前がチカチカしてきた。
「ふ、……く、苦しいっ」
やっとの思いで自分の状況を訴えるが、彼の耳には入っていないのだろう。
角度を変え、舌を吸われて喘ぐ。
長い長いキスは永遠に終わらないかのように感じる。
時折、「ごめん」と囁く関口の声に蒼はただ身を任せるしかなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
68 / 869