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16 待たなくていい8
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両手を広げて無防備にしている彼。
関口は蒼の上に覆いかぶさるように手を付いた。
「おれ」
「ん?」
「いつまで待てばいい?」
「……関口?」
我慢って辛い。
こうして一緒に過ごしているから。
目の前にあって、手を伸ばせば触れられるのに。
我慢しなければならないなんて。
辛い。
「いつまで待てばいいのか分かれば、頑張れそうな気がするんだ」
「関口……」
切ない表情の関口とは対照的に、蒼はにこにこしている。
気怠いが、両手を持ち上げて、関口の頬を触れる。
「関口」
「なに、蒼……」
頬に添えられた腕はそのまま関口の首に回る。
蒼に引き寄せられて、二人の距離は一気に近づいた。
「蒼……っ?」
「待たなくっていいんだよ~」
「蒼……」
彼の真意は分からない。
だけど。
瞳を閉じて深い息を吐いている彼を目の当たりにしたら、この衝動は止められない。
関口は、蒼に唇を重ねる。
今までと違って、蒼から誘われたとなっては興奮せずにはいられないだろう。
「いいの?蒼?」
「……ん」
キスの合間に囁くように、確認する。
きちんと返事をもらっていないから。
不安になる。
「いいの?蒼?本当に……。おれ。本当に我慢できないよ?」
熱に浮かされたような表情。
「酔った勢いで……なんて後悔するから嫌だよ?」
関口の言葉。
蒼は、首を横に振ってから、身体を起こして俯いた。
「おれ、酔ってなんかいないんだ。いくら飲んだって我は失えないんだもの。関口のこと、ずっと考えてた。星野さんにも言われたし」
「蒼……」
「関口のことが大切なんだ。関口に大切にされたいと思うし。おれも大切にしたい」
酔いも手伝って、蒼の目は潤んでいる。
恥ずかしくて、どうしていいのか分からないのだろう。
そんな蒼が可愛いと思う。
「来て。蒼」
「……」
「優しくする」
「……うん」
抱き寄せて。
蒼の存在を確認する。
蒼は思ったとおりに華奢で。
力を入れたら折れてしまいそうだった。
「蒼。愛してる」
「……うん。おれも……関口が、好き」
腰に回ってきた関口の腕は力強い。
ベッドに連れて行かれて組み敷かれる。
コンクールの前と同じ。
何度もキスをされ、気分はたかまる。
思わず関口の腕に掴まり顔をしかめた。
「ん……っ!」
「蒼、可愛いね」
「そ、そういうことを言うなよ!」
顔を赤くして俯く。
初めてだもの。
こういうの。
男の人と……。
ぼんやりしていると、いつの間にか関口の手は蒼の肩をなぞり、シャツのボタンに掛かる。
これは……。
やっぱりそういうことなのだろう。
覚悟をしていなかったわけではないのだ。
だけど、やっぱり恐い気がする。
瞳を閉じて、関口に掴まる。
彼は、この反応を肯定と受け止めたのだろう。
キスを辞めずにそっと手を忍ばせた。
胸を撫で、背中に指を這わせる。
こうして触れてみると、蒼の背中にもいくつかの傷跡があることが分かる。
その古傷に沿って指を這わせると、蒼の身体が震えた。
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