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16 待たなくていい9.
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古傷とは言え、皮膚の薄くなっているそこは感じる場所なのだろう。
「はッ……そこ、やだッ」
右腹部にある傷は、より深いものだった。
親指で力を入れてみると蒼は喘ぐ。
「痛い?」
関口の問いに声を押し殺しているのか、ただ首を横に振るだけ。
痛みはないのだろう。
あとは、一つしかない。
唇を離し、シャツを捲り上げて蒼の傷に舌を這わせる。
「ひゃ!!」
軽く触れただけなのにそこは弱い部分。
身体を捩って逃れようとする。
「ふぁ、や、やだって……ッ!」
がっちりと押さえ込まれている蒼に逃げ場はなかった。
古傷とはそんなに感じやすいものなのだろうか?
彼の傷を見ていると、どうにかしたくなるのはなぜだろうか?
この傷は母親である空がつけたもの。
彼女は母親であるが故に、この傷をつけることができたのだ。
この傷一つ一つから空の蒼への愛情を感じた。
彼女は蒼を自分の最愛の子として大切にしていたのだ。
大切にしすぎてこの傷に至った。
傷の数だけ空は蒼を愛したということなのだろう。
蒼は空のもの?
それはそうだろう。
母親だもの。
だけど。
今は自分のものであって欲しい。
彼は自分のものであってもらいたいのだ。
好きな人を征服したいという想いは、男なら誰にでもあるものだ。
蒼を独占したい。
全て。
心も身体も。
妙に苛立ちを覚えて、関口は手をお腹から下にしのばせる。
傷とここと、どちらが感じるのだろうか?
神経のたくさん通っているあの場所よりも?
蒼の身体は面白い。
関口は意地悪な笑みを浮かべてズボンに手をかけた。
「ちょ、ちょっと!本当に?本当にやるの?」
半分涙目の蒼。
「ここまで誘っといて、それはないでしょう?」
「……それはそうかも知れないけど……でも……はッ」
ぎゅ~っと蒼のものを握りこむと、ビックリしたのか、彼は慌てて関口の首に両腕を回して抱きついた。
「んん!」
「いい?」
「よ、よく……ないッ!!」
いいわけない。
突然の刺激に、目の前がチカチカした。
これのどこがいいんだ。
なにがなんだか分からない。
ぎっちり抱きついてしまっているので、関口の顔は見えないけど、お互いの息遣いは感じる。
瞳を閉じて、関口に与えられる刺激を感じていると少しずつ慣らされていく。
「あ……ん、はう……ッ」
「蒼は素直だね」
関口の扱きに湿潤を得ると、卑猥な音が室内に響いた。
瞳を閉じて刺激をやり過ごそうとしていたのに。
耳を突くその音に息が上がる。
初めてのこと。
関口が蒼を大切にしてくれていることは、十分に分かる。
酔いも醒めるくらい時間を掛けて、蒼の身体を慣らしてくれた。
もう外では、すずめの声が聞こえていた。
「ごめんね。蒼」
熱に浮かされていた蒼は、突然の関口の言葉に瞳を開ける。
「へ?……な、に?関口……っ?」
うつぶせにされて、頭を枕に押し付けられる。
腰を引っ張られて関口のほうに引き寄せられたかと思うと、強い刺激を感じた。
「ふぁッ!!」
時間をかけて緩められたそこに関口は入ってくる。
痛い?
いや。
思ったほどではなかった。
「ごめん」
何度も謝罪の言葉を呟く関口。
「痛く、ないからっ!大丈夫……っだからッ!」
突き上げられる刺激。
到底、気持ちいとはいえるものではない。
だけど、好きだから。
一緒にこうしていられるのなら。
いいのかも知れない。
「蒼っ」
身体が大きくぶれて暖かいものが腸壁に触れた。
そして、出て行く。
開放感に大きく息を吐き喘ぐ。
蒼を抱きしめるように関口も大きく息を吐いてベッドに転がった。
「は~!」
肩で息を吐く関口。
彼の頭を撫でそして抱きしめる。
自分にとってこの人は大切な人なのだ。
必要な人なのだと思った。
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