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23 すれ違い4
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そうだったのか。
確かに。
最初はとっつき難い感じだったけど。
蒼の場合は、無視はなかった。
いじめまがいのものはあったが。
「あいつの方が星音堂歴が長かったしね。きっと新人なんて自分よりも下にしか見ていないんだろうけどさ」
「……そう、なんですか?」
蒼は視線がきょろきょろしてしまう。
変にかんぐられている。
星野には、ばれてしまったから仕方がないけど、あまり大っぴらには出来ないことだ。
失敗した。
お土産なんて関口に持たせればよかったのだ。
あんまりなことはしないほうがいいだろう。
これからは気をつけないと。
「今だって、星野さんとはうちとけているけど。おれはプライベートでも遊んだことないしなあ。お前、結構遊んでるの?」
「……あの」
蒼は困ってしまう。
遊んでいるどころか一緒に住んでいます、なんてことになったら大騒ぎになってしまいそうな予感。
おろおろしてどう切り抜けようかまごついていると、ふと入り口から星野が顔を出した。
「フィーリングが合うんじゃないの?」
天の助け。
星野が出勤してきたのだ。
「星野さん」
「お、おはようございます」
星野は苦笑してかばんを机に下ろした。
「蒼ってさあ。お人よしじゃん。きっと関口はそこに目をつけたんだとおれは睨んでるんだ」
星野は笑う。
「え?それって蒼は関口に騙されていいように使いっぱしりにされているってことですか?」
なにもそこまで言ってはいない。
半分以上が吉田の妄想である。
しかし、これはしめたとばかりに星野は畳み掛ける。
「だって使いやすいじゃん。こうやって、お土産も運んでくれるしな。ぱしりとしては上出来だ」
「ひ、ひどい。星野さん……」
星野が助けてくれていることは分かっているが、なんだか物言いが酷い。
「あらら。蒼ちゃん。そんな態度でいいわけ?」
にんまり笑顔でおネエモードに入った星野。
苛められる。
後で絶対に仕返しがある!
蒼はしょんぼりした。
「っ!……分かってます!」
吉田は苦笑して二人の様子を見ていたが、さっさとお土産に手を伸ばす。
なんだかんだ言っても、お土産第一だ。
「じゃあ、そのお土産を開けてみましょう~。なんだかおれ朝から仕事したから腹減っちゃった!蒼~!おれトイレに行ってくるから開けておいて!」
彼は鼻歌を歌いながら事務室を出て行く。
それを見送っていると、急に腕を掴まれて引き寄せられる。
星野は呆れた顔をしていた。
「お前、関口と続けていく気があるんだったら、ちっとはましな言い訳くらい考えておけよ」
「すみません……」
「まったく。見ていられないっつ~の」
蒼はコーヒーを煎れて星野の前に置く。
「本当に、星野さんには助けてもらってばっかりで……」
「本当だよ。なんかもらわね~と割りに合わね~し」
そうは言いつつも星野は笑顔だ。
珍しいことだった。
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