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23 すれ違い12
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翌朝。
昨晩、遅かったせいか頭はぼーっとしていた。
ふとんの中から身支度をしている蒼を見詰める。
「昨日は、よかったね。友達と逢えて」
今考えると、よくもない出会いだ。
しかし、蒼にはそんなこと知る由もない。
「うん……」
曖昧な返事も蒼にとったら、ただ眠いだけと捉えたらしい。
少し息苦しそうにしている蒼は、首を傾げて笑顔を見せた。
「蒼、病院行かなくていいの?」
「え?」
迷っているのだろう。
じっと天井を見詰める。
「どうしよう……」
「行った方がいいって。また発作が起きると困るだろう?」
「そうだよね」
彼はネクタイを締め、笑顔を見せる。
「じゃあ、時間がとれそうだった帰りに寄ってくるね。関口は?今日は先生のところにいってくる?」
「ああ。でも夕方には帰ってくるから」
「そう。じゃあ、今日は美味しいの食べようよ!」
彼は嬉しそうだ。
その姿を見ているだけで自分まで幸せな気分になれる。
関口は苦笑した。
「いいよ。なににしようかな?」
「関口が当番なんだからね!宜しく」
彼はそういうと、荷物を抱える。
「じゃ、いってきます!」
「いってらっしゃい」
蒼が消えた室内は静かだ。
しばらくしてから関口はもしゃもしゃの頭を押さえながら体を起こす。
「は~……」
なんで言えなかったんだろう。
昨日会ったのは、昔の彼女だって……。
なにもやましいこともないのだから伝えてもいいこと。
だけど伝えたら蒼が心配しそうだ。
むしろ黙っていたほうがいいのだろうか?
悩むところである。
「蒼。ごめん」
関口は大きくため息を吐いて顔を洗いに立った。
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