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23 すれ違い16
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安岐をなぐさめてどれくらい経ったのだろう。
関口の疲労も極限だった。
これは精神的に苦痛だ。
ぼんやりしてしまう。
「なにか食べていくでしょう?こんなに遅くなってしまって……」
安岐は顔を上げた。
彼女の声で我に返り時計を見つめる。
「あ。いや。おれ。もう帰らないと……」
時計は2時を回ってしまっていた。
なんでこんな時間になってしまったのだろう。
もう蒼にあわせる顔も無い。
「え……」
「もう大丈夫だろ?ちゃんと話して仲直りするんだぞ?」
「やだ、圭。お願い!一人にしないでよ!」
安岐は、また抱きつく。
「安岐……」
「お願いだから……一人にしないで」
静まり返った部屋。
関口はソファに座り込んでいた。
男として泣いている女性を振り切ることが出来ないのは仕方のないことだと思う。
だけど、どうして自分がここまでつき合わされなければならないのか、全く理解が出来なかった。
通常の精神状態であれば、冷静に考えて対処できるのかも知れないけど。
彼女が昔の恋人だと言うこと。
蒼に対する後ろめたさがあると言うこと。
そして、精神的に追い詰められて疲労が極限に達していることから彼の意識は明瞭ではない。
ただ安岐が求めるがままに、自分はこの場所にいてしまう。
もうそれがどうしてなのか考える気力もわかないのだ。
ただ、呆然とすがってくる彼女を抱きとめ、関口はその場に座り込んでいた。
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