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24 宮内という男8
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演奏会を終えて、関口が帰宅したのは23時過ぎであった。
「ごめん!関口!おれ。つい居眠りしっちゃって。星野さんには怒られたよ。すべての人が理解しているわけじゃないんだからって……」
蒼は謝る。
「いいんだって。おれも悪いし。携帯なんて届けなければ良かったね。でも。もうバレてんのかなって思っていたから。平気だよ。あそこの人たちは、おれの家族みたいなものだしね」
「ごめん」
それよりも、と今度は関口が謝る。
「昨日は悪かった。また遅くなってしまって」
「そのことはいいって言ったでしょ?……あの時はおれ、あんなこと言っちゃったけど。いいんだよ。関口は自由で」
「蒼」
お荷物になりたくない。
そういう思いが蒼の中にあるのは確か。
彼は話題を変える。
「で、どうだったの?友達」
蒼は苦笑して、関口の顔を見詰める。
「それがさあ……」
関口は昨日のいきさつを詳しく説明した。
「え!その友達の宮内さんって人が桃さんと付き合うことになったの!?」
蒼は目を大きくして驚いた。
「どう思う?」
「え!いいじゃん!でも早いね。インスピレーションがあったのかな?それに遠距離じゃない」
「どうすんだかなあ。まあ。本人たちの決めることだから、おれには口出しは出来ないが……」
関口は蒼を引き寄せる。
「わわ。なに?急に?」
「それより。おれは明日から一泊で演奏会に行くのが辛い」
「いい演奏会になるといいね」
「意味が違うんだけど?」
関口は、蒼をぎゅーっと抱きしめた。
「なに?大丈夫だよ。うまくいくって」
「……そうだよなあ」
こういうときは本当に鈍感なんだから。
「もう寝よう。明日も早いんだから」
「うん……」
「月曜日は何時頃、帰ってくるの?」
「そうだなあ。朝一にあっちを出ても昼くらいになるよ」
「そう。早く帰ってきてね」
「うん」
蒼は関口の肩に手を沿えた。
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