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25 小舅vs恋人6
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「よ、陽介。が、外来は?」
蒼は慌てる。
「終わった!」
「……そ、そう。早いね」
「蒼、約束しただろう?お前の彼氏をおれに逢わせる約束で、あの時。おれは身を引いたのだぞ?約束を破る気か?」
陽介は蒼の頬に手を当てる。
「陽介」
「破るってんなら。おれだって、守る必要はないよな?」
顔を近づけて、蒼にキスする寸前。
啓介が声を上げる。
「陽介!!」
「なんだよ」
「あっと。別に用はないのだけど……」
邪魔されたので、ますます不機嫌になる。
「わ、わかったって!」
蒼はもうやけだ。
陽介にキスされるくらだったら。
関口に逢わせよう。
ただ逢わせるだけだもの。
どうってことない。
栄一郎だっているのだし。
大丈夫だ。
蒼は陽介の腕を引っ張って、居間に入った。
「関口!」
「へ?」
栄一郎との話に戻っていた関口は瞳を真ん丸くする。
「あ、あの。もう一人の兄弟の。陽介」
そっか。と関口は納得して陽介に挨拶する。
「関口です。お話はかねがね」
陽介は足先からてっぺんまで関口を見渡す。
両者とも長身だから。
迫力がある。
「はじめまして。陽介です」
それっきり、二人は言葉を発しない。
これは。
かなり険悪なムード。
そんな様子にも動じない栄一郎は笑顔で手を叩く。
「いや~嬉しいな。蒼が圭君を連れてきてくれるし。家族で揃うのは久しぶりだ。さ!二人も昼食にしなさい」
啓介は逃げ腰だ。
冗談じゃない。
こんな険悪なムードで昼食だなんて!
しかし、すぐにソファに座らされる。
「食べなさい。ね?」
ある意味、怖いのは栄一郎かもしれない。
にっこり笑っているものの、否応ない雰囲気だ。
啓介は慌てて首を縦に振った。
「啓介、どれ食べる?」
蒼は、苦笑して彼に聞く。
そんなのお構いなしに陽介が応える。
「おれはサラダ」
「陽介」
「ふん!」
そっぽを向いてしまう陽介。
蒼は呆れてサラダを皿に取る。
「蒼、そっち桃とってくれない?」
陽介に皿を渡す蒼に対して、関口が囁く。
「どれ?これ?」
すると、サラダをほおばっていた陽介はむっとして蒼に声を掛けた。
「蒼!おれも!」
「へ?な、なにさ!」
「桃」
さすがの関口もむ~として陽介を見る。
かなり険悪だ。
それでも動じないのは栄一郎と空だろう。
これは……。
もう啓介は半分腰を上げている。
「お、おれ」
「どうしたの?啓介?」
首を傾げる栄一郎。
「おれ、お腹痛いんだった~~!」
捨て台詞を残して立ち去る啓介。
「変な子だ」
首をかしげている栄一郎のほうがおかしい。
さすが、圭一郎の友人なだけある。
仲がいいのは似たもの同士だからだろう。
蒼は、陽介と関口の間に挟まれて、生きた心地がしなかった。
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