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26 夏の秘密4
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「あれって」
なんだか見たことがある。
あれは。
なんだっけ?
「あれは、今話題のポシェットモンスターだ」
へ?
「なんで、星野さんが知っているんですか?」
「へ?」
星野は慌てる。
「なんでって……」
なんだか様子がおかしい。
「もしかして」
「なんだよ?」
「花火が見たかったのって、これ?」
蒼は、思わず笑ってしまう。
星野が可愛いものを好きなことは知っていたけど。
まさか。
ポシェモンの花火を見たかっただなんて!
「ば、ばか!違うって!」
「星野さん~」
蒼は、にやにやする。
「言うなよ!誰にも」
焦っている星野は可愛い。
かなり図星らしかった。
「いいだろ?別に。ポシェモン好きだって」
「いいと思います」
恥ずかしそうにして肯定する星野。
蒼は、瞳を細めて彼を見た。
別にいいと思う。
本当に。
「星野さんは、おれと関口のことも認めてくれたんだもの。おれは、なにもおかしいことなんてないと思います」
「蒼」
ばん、ばんとお腹の底にまで響く花火の音に、二人は顔を向ける。
大きく、夜の空に光るポシェモンの形。
「あれはコンタクトンだ」
「へ~」
「あ、ウタモン!」
星野の説明。
蒼は、苦笑した。
そんなポシェモンの名前なんて知らない。
一生懸命に花火を見ている星野は可愛い。
素直ならいいのに。
いつも意地悪ばっかりするんだもの。
でも。
星野が困っているんなら、自分は出来ることをしてあげようと思う。
だって、関口とのことでは本当にお世話になったんだもの。
「星野さん」
「なに?」
「本当に困ったら。おれにも話してくださいね。おれ、できるだけのことはします」
いつも頼り甲斐のない蒼。
だけど、一瞬、そんな蒼が頼もしくに見えて嬉しくなった。
「ありがとう」
「いいえ」
二人が花火に視線を戻すと、玄関から人が現れた。
「すみません!クーラーの調子が悪いんですけど」
「はい!」
星音堂も古い建物だから、暑いといろいろ不都合が出るのは仕方がない。
蒼は、星野に声を掛ける。
「おれが見ます。星野さんは、花火を見てください」
「あ、ありがとう」
苦笑して蒼は、星音堂に戻る。
その姿を見送ってから、星野は携帯を取り出した。
画面には不在着信の表示。
「……」
その相手の番号を表示して、通話を押すと、相手はすぐに出た。
彼のコールを心待ちにしていたというところか?
「もしもし?おれだけど……」
花火を見上げながら、星野は瞳を細めて、相手の声を聞いた。
「え?見てるって。ポシェモンだろう?お前の好きな……」
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