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27 真夜中の訪問者2
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「あの。逢わせたい人って」
顔が赤くなってしまう気がして誤魔化す。
少し恥ずかしがっている蒼の横顔を見て、彼は面白そうにする。
「おれの友人なんだ。今月末に来日公演を行うことになっているのだが。なにぶん忙しい子でね。もう、明日には東京に戻らなければならいんだ。蒼と逢えるのは、今日しかチャンスがなかったから」
よく意味が分からない。
その人はどこか遠くから来ているのか?
東京で公演をするための下見に来ているのに、わざわざ蒼に逢うため、ここまでやってきたと言うことか?
「そうなんですか」
蒼の知っている人なのだろうか?
しかし、公演をするような大物に知り合いはいないはずだ。
首を傾げる。
と、不意に腕を掴まれて引き寄せられた。
「わ!」
「圭に似ているかい?」
顔が近づきドキドキした。
「あ、あの……」
「そんなに真っ赤になって見つめられると、期待しちゃうよ。男はね」
「お、お父さんッ!」
慌てて距離をとろうともがいていると、車が停止した。
前から意地悪な笑みの有田が顔を出す。
「着きました」
「有田は気が利かないんだから。もう少し楽しませてくれてもいいのに」
「いけません。本気で圭くんに怒られますよ」
ちぇっと舌打ちをしてから、圭一郎は蒼の手を取ったまま車から降ろす。
ここは、駅前のホテルだった。
「ここだよ」
「はい」
市内でも一番の高級ホテルだ。
蒼なんて泊まったことも入ったことも無い。
きょろきょろして田舎ものだ。
そんな蒼を見て、苦笑してから圭一郎はエレベータに乗る。
案内されたのは最上階だった。
彼は、なにやら聞きなれない単語を口走った。
『ショル!』
ショル?
人の名前?
蒼が瞬きをしていると、奥から賑やかな声が聞こえた。
『関口っ!本当に連れてきてくれたのか?』
首を傾げる。
外人のようだ。
英語が聞こえる。
声がしたかと思うと、奥からひときわ大きな男が出てきた。
ビックリする。
大柄。
確かに大柄ではあるが、痩せているせいか、がっちりタイプではない。
金色の髪。
青い目。
日本人が「外人」といったらこういう容姿ではないか?と想像してしまうような典型的な配色だ。
『ありえない!』
男は嬉しそうにしている。
『たった数週間で夢が叶うなんて!』
身振り手振りで喜びを表している。
蒼には馴染みのない、大きなリアクションにたじたじだ。
「な……っ?」
「蒼。こちらは指揮者のショルティ。この前、ドイツで明星のリハを振ったそうなんだ。そこで圭の持っている君の写真を見たそうだ。それで、どうしてもキミに逢いたいって」
そういうことだったのか。
蒼はまごつく。
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