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27 真夜中の訪問者3
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「彼もそろそろひとり立ちだ。今月末に日本でデビューすることになって、そのための準備で、来日したんだ」
圭一郎の説明なんてどうだっていいと言った感じで、男は蒼を食い入るように見ている。
「そ、そうなんですか」
「明日は、また東京に戻らなくてはならないんだが。どうしても、その前に君に逢いたいって言うから。来てもらったわけなんだが……」
圭一郎の話は、まだまだ続きそうだ。
そう判断したショルティは長い腕を伸ばし、蒼を抱き締めた。
「ひゃ!」
『小っちゃい!』
「ぎゃぎゃっ!」
『ショル!!』
人の話を聞けと、ばかりに圭一郎は呆れる。
『関口の話は長いんだもの。本当に、蒼なんだね?ああ。夢見たいだ』
ショルティは、目を回してしまっている蒼の頬にキスをする。
『圭とはね、この前の明星のツアーで一緒になったんだ。君の写真を見たよ。あの、なんだったか……。そうそう。着物ね』
にこにこしているショルティ。
蒼は汗をかく。
『こ……光栄です』
『キミ、英語は大丈夫なんだね?』
『ちょっとだけ……』
『なら話が早い。日本人は英語が出来ない人が多いから。関口に通訳してもらわないとだめかと思っていたんだ。でもよかった。やっぱり自分の言葉で思いは伝えたいしね』
『はあ……』
圭一郎は笑顔で見守っている。
ぎゅうぎゅうされているのだ。
早く助けてくれたらいいものを。
蒼はおろおろしていた。
『まさか、今回の来日で君に逢えるとは思っても見なかった。おれのアシストで関口がついてくれるって決まったときに、思い切って話してみて良かった!キミの写真を見てから着物っていうものを買ってみたんだ~。しかし、おれではしっくりこなくて。今月末に来日したときにも時間をとってもらえますか?』
『は?』
なんだかよく分からない。
興奮しているショルの言葉は早口で、聞き取れない部分も多い。
だけど、最後の言葉は聞き取れた。
時間をとる?
今月末に?
どういうこと??
圭一郎を見る。
「蒼。君の都合でいいんだよ?」
そんなこと言われても。
ここまで楽しみにされては、断るに断れない。
『……少しでしたら……』
『良かった!では着物を持ってくるね。是非、着て見せて!楽しみだ~!』
万歳をして喜びを表しているショルティ。
へんな日本かぶれの外人である。
蒼は、ひきっつった笑みを浮かべるしかない。
一通り喜んでからショルティは、蒼の頬に手を当てる。
『圭が言っていたよ。日本語で蒼とは深い深い青色を表す言葉だと。とても似合っているね。キミに』
『ありがとうございます』
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