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27 真夜中の訪問者4
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帰りは、来たときと同様に、圭一郎と有田に送ってもらった。
時間は一時を過ぎていた。
「すまないねえ。こんなことになってしまって」
「平気です」
しかし、蒼はなんだか嬉しかった。
間接的に知ったとは言え、関口が自分の名前のことをそんな風に紹介してくれたなんて……。
自分の名前は、変わっていてなんだか気に入っているというほどでもない。
でも、空の付けてくれた名前。
褒められたのは初めてだったし、人がどのように思っているかなんて、初めてのことで、少しうきうきしていた。
「このことは、圭には秘密にしてくれないかな?」
「え?」
「あいつは気難しくてね。おれが怒られてしまうから」
苦笑している圭一郎。
「はい。だけど今月末って。いつ頃なんですか?」
「彼が来るのは9月最後の土曜日だね」
記憶を手繰り寄せる。
その週は確か土曜日が出番だった気がする。
「仕事だ……」
「困ったなあ。土曜日休めない?」
しばらく考える。
その日は確か、課長も休みで三人出勤だった。
特に大きな催しも入っていない。
もしかしたら、休むことが出来るかもしれない。
「なんとかしてみます」
蒼が断ったら、圭一郎が困ってしまうだろう。
アシスタントをするくらいだ。
誰かに頼まれているに違いない。
音楽面もそうだが、きっと日本にいる間のメンタル面とかもアシスタントには含まれているのかもしれないと思う。
関口もコンクール前は、情緒不安定になると言っていたし。
そう判断して蒼は、もう一度頷く。
「分かりました」
「無理言ってしまってすまないね」
「平気です」
蒼は笑顔で答えた。
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