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28 新星現る11
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リリリン、リリリン……。
携帯が鳴る。
「蒼!?」
関口はベッドから飛び起きる。
蒼が帰ってこないものだから、飽き飽きしていたところだ。
いつもだったら、楽譜でも広げて考え事をしているところだけど、今日はそういう気分にもなれない。
珍しくテレビをつけゴロゴロしていたところだった。
急いで携帯を取り上げる。
画面にはメール受信の表示が出ていた。
メールの送信者は宮内。
至急、電話くれ。
それだけ。
なにが至急だ。
勝手な男だと思う。
至急だったら自分で電話をよこせって言うもんだ。
「なんだ。宮内か」
がっかりして携帯をベッドに投げる。
今日は、宮内が所属している帝都交響楽団の演奏会ではなかっただろうか。
しかも、あの蒼の写真を拾ってくれたショルティのデビュー公演だって話だ。
ショルティの初ステージ。
興味がある。
関口は、彼の作る音楽が好きだから。
どんな演奏になるのだろうか?
気になるところでだ。
宮内にも聞きにくるように誘われたけど、今日はせっかくの休みなのだ。
蒼との時間を過ごしたいと思っていた。
「蒼、早く帰ってこないかな」
呟く。
関口はベッドのごろんとしてため息を吐いた。
待つ時間とは長く感じるものである。
安岐との時。
蒼を待たせてしまった。
あの夜は、蒼にとったら長いものだったろう。
本当に申し訳ないことをした。
そう思うほど、蒼が恋しく思われる。
早く帰ってくればいいのに。
瞳を閉じ、関口はうつらうつらしていた。
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