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30 関口邸4.
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「ねえ。関口!」
不意に蒼が大きな声を上げる。
「え!?」
静かな雰囲気だったのに。
関口は驚いて苦笑した。
「なに?」
「き、」
「え?」
「き、キスしてくれない?」
「!?」
関口は、思わず笑い出す。
「どうしたの?蒼??」
蒼から言うなんて。
初めてだ。
「あ、あの!あのね。なんていうか……。その。やっぱり、関口がいいっていうか……」
顔を赤くして焦っている蒼の頬に手を当てて、関口は苦笑する。
「だから……っ!せ、」
言葉も途中に唇を塞がれる。
「ん……」
深く絡みう二人。
蒼の興奮も落ち着いたようだ。
静かになる。
「蒼」
「あ、あの……」
やっぱり恥ずかしい。
今までは、嫌で仕方がなかったのに。
身体の奥で大きな鼓動と熱さを感じる。
どうしよう。
関口の吐息と共に、耳に暖かいものを感じる。
「ひゃ!」
ぎゅ~と目を閉じて関口の腕を掴む。
むずむずした。
みみたぶを軽く噛まれると、ぞくぞくっとした。
「はッ」
「蒼」
関口の腕で腰を引き寄せられたかと思うと、視界が回った。
「関口!?」
彼の下に組み敷かれて状況を理解する。
「や、やばいよ!おれたちだけじゃないんだし……!」
「大丈夫だって」
「でもっ!」
こうなってしまったら、なにを言っても届かない。
関口はいつもそうだ。
蒼は困った。
「でも。本当にやばいと思う」
「声出さなきゃいい」
「え!?」
涙目で焦っている蒼を、愛おしそうに見つめて再びキスを繰り返す。
「ふ……んッ」
気分を高めて行くためのキス。
激しいキスに頭が真っ白になる。
唾液を絡め取るように口内を隅々まで犯される。
喉の奥が痙攣した。
ひゅうひゅうと喘息の音が室内に響く。
だけど、この苦しさもまた、いつの間にか快楽に摩り替わる。
「ショルとは、なにもなかったんでしょう?」
キスの合間に響く関口の囁き。
半分以上は記憶がない。
だけど、なにもない……と蒼は思っていた。
まさか、キスされていたなんて思ってもみない。
「ん、ない……っ、なにもないってばぁ」
細く長い彼の指がシャツを捲り上げて背中を這う。
「ふッ」
吐息が洩れる。
古傷。
蒼の感じる場所を関口は執拗に撫でた。
「は、い、いや」
「蒼。欲しいのはキスだけ?」
「へ?」
手が止まり、瞳を開けると、目の前には関口のそそり立ったものがあった。
「あ……」
どうしてだろう。
こんな気持ちは初めて。
欲しい。
そう思う。
「欲しい」
「どうぞ」
突き出されたそれを握り込み、そして口に含む。
何度か言われて、口にしたことはある。
だけど、自分から欲しいと思ったのは初めて。
「……っう」
蒼の与える刺激に、関口は顔をしかめた。
彼が気持ちよさそうな顔をすることが嬉しい。
ベッドに座り込んでいる彼の懐にかがみ込み、舌で丁寧に嘗めまわす。
「いいよ。蒼」
「んふ……」
背中を這う指は、蒼の古傷に再び添えられた。
身体を跳ね上がらせ、それでも彼のものを咥え続ける。
もうどうにかなってしまったみたいだった。
身体の奥から湧いてくる欲情に逆らうことは、到底出来そうになかった。
欲情を満たすまでは、治まることはないだろう。
やるしかない。
人間の本能なのだから。
一度走りだしてしまったものは、止められないようにできている。
うっすらそんなことを頭の中で思っている自分がおかしく感じる。
冷静に分析しているのか?
だけど、この思いはそんなものでは片付けられないものなのだと初めて知った。
あごに添えられた手で顔を持ち上げられる。
関口は、先走りと唾液で濡れた蒼の唇を舌で綺麗に拭う。
「関口……」
「一緒になろうね。蒼」
腰を引かれ、ベッドに身体を預ける。
足を自分の肩にかけ、そして腰を浮かせた格好を取らせる。
「や、ちょっと……」
月明かりに浮かぶ関口の顔は、いつもの彼ではない。
蒼もそうなのだろう。
お互い、欲望にだけ身を預けている生物だ。
頬を高潮させ、身体を捩った蒼を掴まえ、そしてそのまま一気に突き下ろす。
「ひゃあぁ……ッ」
慌てて声を抑えようと、手を口に持っていく。
「あう……」
蒼の愛撫で湿っていたものは、彼の身体に馴染むのにそう時間は掛からなかった。
卑猥な音は更に本能を刺激する。
口を閉ざし、荒い息だけを上げる。
瞳をしっかり閉じて、関口の感覚だけを受け取った。
こんなにいいものだったろうか?
彼と付き合うようになって、当然の如く、こういう行為をしなければならなくなった。
最初は義務みたいなものだった。
恋人なら、彼の欲求を満たしてあげないと。
そう思っていたから。
だから楽しむ余裕なんて、なかったのかもしれない。
だけど、彼と逢えなかった今日一日。
罪悪感に包まれていた一日を経験してみて、はっきり自覚した。
なんで彼が必要なのだろう?
そう自問自答してきた。
だけど、その答えはただ一つしかない。
彼を愛していると言うこと。
こういった行為すらも愛おしいと思う。
今まで生きてきて、他人のことをここまで思ったことはない。
それは陽介に関してもそうだ。
彼の全てが好き。
繋がっている悦びさえも、嬉しい感覚だった。
「好き。関口が……好き」
涙を浮かべて彼に手を差し伸べる。
「おれも。蒼のことを愛している」
蒼の差し出した手を握り、彼は微笑む。
愛おしい。
ひと時も離れたくないくらいに。
関口には蒼が。
蒼には関口が。
必要だった。
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