アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
34 踊っとけ1
-
星音堂の文化祭まではもう間もない。
作曲は、2/3は出来上がったらしい。
今日からは、毎日のように残業業務に入る。
残業といっても文化祭の練習だが。
いつもは遅番をやらない水野谷まで、21時まで残ると宣言した。
朝礼の前、本日の予定を眺めていた吉田は大きくため息を吐く。
「これって職権乱用だな」
蒼は首をかしげて彼の見ていた黒板を見る。
そこには、人気でなかなかとれない練習室の一室が職員用に確保されていたのだ。
「いいんかね~。こんなことして。バレたら大変だ」
一般の人にはバレないように名称は『着ぐるみ一座』なんて名前になっているが……。
「着ぐるみ一座って」
確かにそうだが。
蒼は大きくため息を吐いた。
「どうせこんなネーミングをつけるのは課長だろう」
にょんと顔を出した星野。
珍しく無精ひげがない。
「へ?」
「ええ?」
吉田と蒼は顔を見合わせた。
「どうしたんですか?」
「なにが?」
「だって。ひげ」
自分のあごを撫でてから彼は笑う。
「まあ、いいじゃない」
「星野さん!?」
変だ!
変。
蒼も吉田も。
彼の無精ひげを欠かさず見てきたのに。
ありえないほどの驚きだ。
「どうしたんだろう」
モンモンしている二人を差し置いて彼は自分の席に座った。
人の話はいろいろ聞きだそうとするのに。
自分の話になると口を閉ざしてしまうなんて酷い。
蒼と吉田は顔を見合わせた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
248 / 869