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36 四重奏8
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そして。
「ごめん!!!関口くん」
雪田と再会したのは2日後のことだった。
彼女は平謝りである。
「どうしたの?雪田」
「だって、この前の飲み会で、私、本当にひどいことばっかり言っちゃったみたいで」
「みたいで?」
もしかして。
「ごめん!全然覚えてないの!」
やっぱり!
じゃあ。
蒼とのことも?
「関口くんに絡み始めたところまでは、かろうじて覚えているんだけど。それからどうしたんだっけ?目が覚めたら佐伯くんしかいなくてさ。彼からはちょっと聞いたんだけど。あんまり教えてくれなくて」
そうか。
それはそれでいいじゃないだろうか?
彼女があの時のことを丸覚えだったら。
今頃、恥ずかしくて、この場に出て来られなくなっていただろう。
そう考えると不幸中の幸いだ。
「まあ、いいじゃない。追々話すって」
「でも。佐伯くんと私が付き合っていることはみんなには内緒にしてね」
「どうして?」
堂々と言える関係だもの。
羨ましいことだ。
「だって。いろいろ面倒でしょう?佐伯くんにも迷惑掛けたくないし」
気持ちは同じなのだな。
関口は思わず苦笑する。
「今度、また飲みに行くか」
「え?」
「だって、飲んでいて覚えてないんでしょう?おれだって大切な話したんだけどな」
関口の言葉に雪田は笑う。
「本当?」
「そうだって。佐伯から聞いてないの?」
「それが。はっきりしないんだもん!本人から聞いたほうがいいんじゃないかって」
そっか。
佐伯は関口と蒼のことを彼女の雪田にも言わないでくれたみたいだ。
これは信頼できる。
やっぱり、こういうことは直接自分で言っても大丈夫って人だけに言いたいものだ。
ありがたいことだ。
「じゃあ、今度」
「今度っていつよ!気になる~」
いつまでも騒いでいる雪田。
これはまた近いうちに飲み会を開かないと駄目のようだ。
関口は肩をすくめてヴァイオリンに手を伸ばした。
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