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翌日。
最後のフィナーレの曲が出来上がると言うことで、事務所は朝からそわそわしていた。
「とうとう、今日出来上がるのか~」
氏家は、ニコニコしている。
ああだこうだ言っても、結局は出来上がることを楽しみにしているのだ。
こうも毎日、否応なしに向き合わされたら、そういう気持ちになるのも仕方のないことだろう。
いつのまにか、本番が楽しみになっている星音堂職員たち。
今日、最後の曲が出来て、来週には伴奏と合唱の初練習があるそうだ。
そして、次の週には自分たちも練習に入り、とうとう2週間後には、本番が控えている。
やっとここまキタと言うところだ。
「そういえば着ぐるみはどうするんです?」
吉田の問いに答えたのは水野谷だ。
「大丈夫だ。来週には納品してもらうことになっているから」
「納品って!?」
一同はびっくりしてしまう。
「買ったんですか?」
「うん」
「うんって!」
借りるとかいくらでもできたはずだ。
なにも購入しなくても。
「だって。ロバとかないし。探しても。特注だから」
「はあ!?」
これには驚きだ。
一同は、視線を合わせてため息を吐いた。
今年の水野谷はやっぱり違う。
なにかが違うのだ。
よっぽど力が入ってしまっているようだった。
一同は今日も職務の後の練習があるので、書類作業に戻る。
いつものようにダラダラして残業なんてことになったら大変だ。
どんどん仕事が貯まってしまう。
蒼もいつも通りパソコンに視線を落とした。
しかし、隣の星野が気になって仕事にならない。
彼は机の下の携帯をちらちら気にしているのだ。
「星野さん」
小声で声をかける。
「緊急の連絡でも入るんですか?」
「え?」
最近、めっきりおしゃれをしてくるようになった星野。
本当に仕事も上の空の時が多い。
困ったものだ。
「なんでもないって」
「ならいいですけど。気が散るのでやめてください」
蒼に怒られてしまったのでは、どうしようもない。
星野は首を竦めて仕事に戻った。
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