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39 ブレーメンへ行こう!3
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『仲間を得たロバくんは意気揚々とブレーメンを目指して旅を続けました。そして……』
「にゃ~お♪にゃ~お♪にゃ~お~♪」
ヴァイオリンの音にあわせて猫が飛び出してきた。
「わわ!」
「猫くんだわん」
「びしょぬれじゃないか」
猫は身体の水分をぬぐうしぐさをした。
「面白そうなメンツだにゃ。ロバに犬にゃ」
二人は止まって猫を見る。
「ボクたちはこれからブレーメンに行くところさ」
「ブレーメン?」
「そうそう。歌と踊り、音楽の都だわん」
ロバと犬は顔を見合わせて頷いた。
「キミはどうしてそんなに濡れているんだい?」
ロバの質問に猫はくるっと後ろを向く。
ちょっと寂しそうだ。
「ひどいんだにゃ。ご主人様。年をとってねずみを取ることができなくなったから、もう用済みなんだってにゃ。さっき、川に捨てられちゃったところだにゃん」
二人は更に顔を見合わせる。
「それだったら」
「ボクたちと一緒にブレーメンに行こうわん!」
二人は猫の手を取って輪を作り、無理やり躍らせる。
「そんな気分じゃないにゃ。よしてにゃ」
「そんなこと言わない、言わない」
「そうだわん。ボクたちだって年をとったから役立たずだって追い出されたんだわん」
「え……」
「一緒に行こう!キミのその歌声ならおれたちの音楽にぴったりさ!ボクはギターをやるんだ」
「ボクは太鼓だわん」
二人の調子に巻き込まれた猫はしだいに足取りも軽く、一緒に踊った。
「わかったにゃん!こんなボクでもまだ出来ることってあるんだにゃ!頑張るにゃん」
三人は嬉しそうにスキップをする。
「さあ!ブレーメンに行こう!」
「そうだ!ブレーメンに行こうわん!」
「にゃお!ブレーメンに行くにゃん!」
三人は手をつないでスキップをしながらステージの上を駆け巡った。
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