アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
39 ブレーメンへ行こう!6
-
「さっきは驚いてしまったから逃げ出してしまったが、そんなに驚くこともなかったな。どうやらあじとは静かになったみたいだから。もう一度戻って見て来い!」
課長に言いつけられた子分職員はしぶしぶ家のほうに向かった。
「見て来いって言ったって。さっきのあれは尋常じゃないじゃないか。どうしよう。どんな化け物がいるのだろう?玄関から入ったら真正面からかちあってしまうから、裏口から入ってみよう」
子分の職員はそっと扉を開けて中に入る。
「えっと。明かり、明かりと。あ、暖炉の火が残っているな」
職員は暖炉の前にいる猫の光る目に木の棒を押し付けた。
「にゃふ!」
「え?」
「う~!う~!」
猫は唸ると職員に踊りかかり、爪で顔を引掻いた。
「ぎゃ!」
職員はよろよろと玄関から外に逃げようと歩く。
「痛い、痛い。助けてくれ、痛い」
そんな職員。
真っ暗闇で、扉のところにいた犬のしっぽを思い切り踏みつけた。
「きゃん!」
「なんだ?」
「ぐるるる~!」
犬は思い切り足に噛み付いた。
「ぎゃ~!痛いよ~!」
やっとの思いで外に出た職員。
外では中の騒ぎを聞きつけて待ち構えていたロバが後ろ足で蹴飛ばした。
「わ~!」
後ろに飛ばされて、玄関の扉にぶつかる。
そこに、騒ぎで驚いたオンドリが大きな声で鳴いた。
「コケコッコ~!!」
「ひゃ~!」
悪の公務員子分は一目散に逃げていった。
おきだしてきた四人は顔を見合わせる。
「なんだったんだい?」
「どうやらさっきの公務員が様子を伺いにきたみたいだわん」
「でも逃げていったにゃん」
「もうこりてこないんじゃないクル?」
四人は陽気に笑いあった。
逃げ出した平職員は森の中で待機していた課長のところに辿り着いた。
怪我だらけの彼の姿にびっくりした課長は何があったのかを尋ねた。
「大変でさあ!あの家には光る目の魔女がいますぜ!魔女にこの顔をやられました!鋭い爪で顔を切り裂かれました!」
課長たちは平職員の顔を見て驚く。
「更に、それだけじゃないでさあ。戸口には魔女の用心棒の男がいて、足をナイフで刺されました!」
「なんと……ッ!」
「そして、まだまだありますぜ!庭には恐ろしい魔物を飼っていて、その魔物が恐ろしく大きくて強靭なこん棒でおれの身体を殴りつけたんでさあ」
「おお!」
「最後には屋根の上に控えていた裁判官の男が『極悪公務員はどこだ!公務員をここに連れて来い』って叫んだんでさあ」
「なんと!もうあの家は諦めよう。そんな恐ろしい輩に入り込まれたんじゃ太刀打ちできねえ。みんな引き上げだ!」
課長の言葉に公務員たちはそそくさと下手に退散していった。
『極悪公務員たちは朝になっても仕返しをしには現れませんでした。ロバたちはほっと安心しました』
「ブレーメンに行く前に少しここで暮らさないかい?」
ロバの提案に他の動物たちは同意した。
「そうだわん。ブレーメンに行かなくたってここでみんなと音楽をすることは出来るわん」
「素敵なお家もあるし、なにより、ここの森から公務員もいなくなったから平和だにゃ」
「ここなら思い切り鳴いたり、歌ったり、踊ったりすることができるクル」
一同は手をつないでスキップをする。
それにあわせて音楽は明るく壮大なものになる。
合唱も入り、これからの明るい未来に向かって希望を持った曲を奏でた。
それにあわせて一目散に逃げていった極悪公務員たちもステージに上がり、最後のフィナーレをも変える。
こうして、20分にわたるミュージカルは幕を下ろした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
283 / 869