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42 仕事納め3
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みんな手伝いに行くとは言っても代わってくれる気はないらしい。
しゅんとして吉田はゴム手袋とバケツを抱えて外に出て行った。
1月になると雪は多くなるけど、この時期だとかろうじて雪はない。
X'masに降った雪も落ち着いてきたところだ。
ただし、盆地であるため、冷たい風がピュウピュウ吹いている。
コートを着て、マフラーをして、帽子をかぶっている吉田。
「なんだか気の毒だな」
窓を拭いている高田はため息を吐く。
「いいんです!たまにはお灸を据えないと……最近、本当に生意気なんですから」
ふんふん怒っている星野は鬼だ。
蒼もため息を吐いてキッチンに行く。
換気扇組が窓拭きを終わらないうちにさっさとやってしまおう。
キッチンと言われているところは実質、給湯室だ。
大人が二人も入ったらいっぱいになってしまう狭さなので、換気扇組が来ると大変なのだ。
それに、吉田の手伝いも早くしたいし。
蒼は緑色の手袋を装着して張り切って掃除を始めた。
大掃除は案外、時間がかかるものだ。
最初に終わると思われた氏家・尾形ペアや水野谷は難航していた。
1年の汚れとは相当なものなのだろう。
給湯室の掃除が終わる頃、高田と星野が換気扇の掃除にやってきた。
「なに?もう蒼は終わりか?」
「ええ」
星野は給湯室を見渡す。
なんか文句をつけたいのだろうけど、つけられないらしい。
面白くない顔をしていた。
なんだか今日はいつもにもまして機嫌が悪いようだ。
「じゃあ、お前も換気扇を手伝え」
「え!」
蒼は中庭へ視線を向けた。
吉田は文句を言っていたわりに、一生懸命鳥小屋の掃除をしているようだった。
あまりの風の強さに、ときどき顔をしかめている。
「あの。おれは吉田さんの手伝いします!」
「蒼?」
黙って手袋を脱ぐ。
そして星野に笑顔を向けた。
「行ってきます!」
「こらっ!掃除隊長の命令を無視する気か!?」
いつの間に隊長になったんだか。
高田は爆笑していた。
蒼がコートをはおって走っていくと、吉田は嬉しそうにしていた。
窓越しに見て星野はますます面白くない。
「まあまあ。大人気ない」
高田は苦笑する。
「ちぇ」
「お前も行きたいんだろう?あっち。いいよいってきな。その替わり、さっさと終わらせてこっちを手伝ってな」
高田に背中を押されて廊下に閉め出される。
「……仕方ね~な」
む~ってしてから煙草をくわえて外に出る。
せっせと鳥小屋をきれいにしていた吉田と蒼は星野を見つけて顔を上げた。
「星野さん!」
「手伝いに来てくれたんですか?」
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