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44.旅立ち4
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桜の店から出て、駐車場までは歩いて5分。
到着すると、自分の愛車は真っ白になっていた。
積もった雪を払って乗り込む。
日中から降っている雪。
いったんはやんでいたものの、また振り出してしまった。
時計を見ると18時を過ぎたところ。
ふと蒼のことを迎えに行こうと思う。
そう思い立って車を星音堂の方角に向ける。
しかし、この雪だし、帰宅ラッシュだ。
案の定、高速道路も通行止めになっているらしく、降りてきているトラックなどで渋滞していた。
「この調子だと星音堂まで1時間はかかるかなあ」
大きくため息を吐く。
疲れているし。
運転も楽じゃない。
早く布団に横になりたい。
毎日練習はしていたつもりだけど、今回の練習量は半端ない。
ヴァイオリンを持っていない時間のほうが短いくらいだ。
それに。
関口も蒼と同じことを考える。
明日には蒼とはしばしのお別れだ。
寂しい。
いつまでも一緒にいたいのに。
止まっていた車の流れにあわせて自分の車も走らせる。
「蒼、帰ってたらどうしようかな……まあ。いっか」
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