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44.旅立ち5
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「すごい雪だな~」
定時になって一同は窓にへばりつく。
午後から掃いたところがすでに白くなっている。
「今日は練習の予約がいくつか入っているけどキャンセルもあるんじゃないか?」
尾形の言葉と同時に電話が鳴る。
遅番の吉田が取ると、それは予想通りキャンセルの連絡だった。
「コーロ・はなみずきは休みだそうです」
それを聞き、もう一人の遅番、高田は伸びをする。
「おれも帰りて~!9時なんて言ったらガチガチに凍っているだろうなあ」
「とほほですねえ」
吉田もため息だ。
そんな二人を余所に、水野谷と尾形は荷物を抱える。
「利用者がいなければ早めに閉めてもいいからな。気を付けて帰れよ」
水野谷の言葉に二人は頷く。
星野も荷造りをした。
「おれたちも今日は帰ろう」
「……」
でも。
今日はなんだかもう少し、こうして雪を見ていたい気分だ。
真っ暗な空から降ってくる雪。
夜の闇に浮かぶ雪は青白く輝いて見えた。
関口も遅いだろうし、もう少し、ここにいてもいいかな?
一人でアパートにいるのは辛いのだ。
寂しくなってしまうから。
「おれ、もう少しだけ。やっていきます」
「蒼?」
「大丈夫です!6時過ぎには帰りますから!」
「そっか。じゃあお先」
遅番組みを残して、水野谷、氏家、尾形、星野は事務室を出て行った。
「いいの?蒼?」
「いいんです。そうだ。コーヒーでも入れましょうか?」
蒼の言葉に遅番二人組みは、嬉しそうに頷いた。
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