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46.新しい道3
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「お弁当が来たぞ~!」
水野谷が頼んでおいた夕飯が届くと、一同は手を休める。
「わ~い」
「弁当だ!」
「弁当……」
渡された弁当をみて止まる吉田。
「どうした?嬉しくて声も出ないのか?」
にやにやしている水野谷を見て吉田は抗議する。
「課長!これってのり弁じゃないですか~!ひどい!一番格安を選びましたね!!」
一生懸命抗議をしている吉田に対して、余裕の水野谷はおかしそうに笑っていた。
「文句を言うなら食べるな。おれはスタンダードなこれが一番好きなのだ。なんの弁当だっておごってやったことには変りがなかろう?」
「わ~ん!」
何を期待していたのかは知らないが、おごってもらっておいてその言い草はない。
氏家は苦笑する。
「おい、吉田。だったらお前が今度は弁当をおごれ」
「氏家さん」
氏家の隣では尾形が弁当を見つめて頷く。
「そうそう。わがまま言うもんじゃないぞ。食べ物は食べ物。おれはありがたいと思っている」
太っている彼の言葉に一同は納得する。
そういう素敵な性格だから今に至ったのであろう。
「なんだか尾形が言うと妙に説得力あるよな」
星野も爆笑だ。
「おれものり弁ってすきだな。この、コロッケとちくわのてんぷらが最高だ」
高田も嬉しそうだ。
嵐の合間の団欒。
このまま、まったりムードで行くのかと思いきや。
「いただきます!」
弁当の話で盛り上がっていたはずなのに。
さっさとお弁当をあけて食べ始めたのは蒼だった。
「蒼……?」
一同は目が点になって彼を注視する。
何をしても遅い蒼なのに。
せっせとお弁当を食べ始めている。
「早く仕事を片付けないと。先に頂かせていただきます!」
仕事に疲れたと言うこともあり、のり弁一つで大騒ぎの事務室は一瞬で静寂になる。
そして、負けじと吉田と尾形もお弁当を開いた。
「いただきます!」
「いただきます!」
がつがつしている3人をみて水野谷は笑った。
「そう、がっつかなくても。誰も取りやしないって」
「いいえ!せっかくですから、温かいうちに頂きます!」
蒼にぴしゃりっと言われて、さすがの彼も閉口してしまった。
一同は仕方なくお弁当ももくもくと食べ始めた。
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