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46.新しい道5
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翌日。
いつも通りに仕事に行く。
関口がいなくても自分のペースを取り戻さないと。
そう思ったので、今朝は早起きをしてお弁当を作ってみた。
残業が続いているせいか、みんな心無しか元気がない。
「おはようございます!」
次々に出勤してくるメンバーに大きな声で挨拶をする。
どの職員も苦笑いをしていた。
「蒼はなんだって元気なんだな」
隣で蒼の様子を呆れて見ていた星野は笑う。
「そうかな」
「そうだって」
関口がいないのに……と言い掛けてから星野は黙る。
これは禁句だ。
きっと空元気に違いない。
そう思ったから。
途中でやめてしまった星野の態度に疑問を感じて、首を傾げた蒼だったけど、それ以降、星野は自分の仕事に戻ってしまったので仕方なく自分も仕事を始めた。
蒼がパソコンを見ていることを確認してから、星野は手を休める。
出発前。
関口は頭を下げて「蒼のこと、本当に頼みます」って何度も言っていたのを思い出す。
本当に心配性なんだから、と思った。
逆にあんまり過保護だと蒼が可哀相だ。
なんだか一人の人間として尊重されてないような気になりそうなものだ。
だけど、惚れた弱みなのだろうな。
きっと。
自分だってきっと油井を一人残して、どこかに行くことになったら不安で仕方ないと思う。
関口が蒼のことを自分に託すってことは、蒼のことを心配している気持ち半分、自分の不安を打ち消すための行動なのだろう。
そう思った。
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