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48.過去との対峙2
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一方。
外に出た蒼は携帯を見た。
誰だろう?
メールの相手は……。
陽介だった。
そういえば、先日もなんだか連絡が入っていたっけ。
「忘れていた」
あんまり知らん振りもできないからなんとか返事を返さないと。
自転車置き場に向かいつつ、携帯のメールを見つめる。
『蒼っ!無視すると押しかけるぞっ!』
ぐは。
やばい。
なんか怒っているかも知れない。
さすがに返事をしないと……。
かばんを自転車のかごに入れて携帯の返信メールを作る。
なんて返事すればいいかな?
アパートに帰ってからでもいいか。
やっぱり諦めよう。
寒いし。
蒼はそっと空を見上げる。
夕暮れと闇夜が混ざり合った空。
あちこちに星が輝いている。
まだまだ寒い。
風を感じて首を竦めた。
「帰ろう」
明日から二連休。
なにをしようかな?
自転車に乗り込んで車道に出る。
買い物をして……のんびり過ごそう。
休日。
朝早くから起こす輩も今は海外。
のんびりして、一週間の疲れをとらないと。
関口。
関口。
どうしているだろうか?
もう旅立ってから6日。
何も連絡がないってことは順調に勝ち進んでいるんだろう。
次は2次かな?
色々なことが頭を駆け巡る。
早く帰ってこないかな?
一人は寂しいな。
そう思った瞬間。
ふと、目の前に車が一台飛び出してきた。
「わわっ!」
ぼんやりしていたせいで反応も遅れた。
まあ、それでなくてものんびりしている蒼だから、避けられなかっただろうけど。
視界が引くりかえって気付いたら地面に寝転がっていた。
「……」
何が起こったのかわからずに瞬きを繰り返していると、車の扉の音がして女性が一人駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか!?すみませんっ!」
えっと。
大丈夫です。
そう言おうとして口をパクパクさせたけど、なかなか声は出なかった。
「大変!頭を打ったのかしら……あの、すぐそこ。病院だから。車で運びます」
いいです!
大丈夫ですから。
歩けそうだし……。
だけど、どこをどう打ったのだろうか?
腰から背中にかけて打ち付けたらしい。
自転車なんかどこにあるか分からなくなっていた。
女性は思ったよりも大柄で、蒼のことなんかやすやすと車に乗せてくれる。
まな板の上の鯉状態だ。
自分でぶつけてしまったと言う責任を感じているのだろう。
女性の横顔は青ざめていた。
ここは素直に従ったほうが彼女のためにもいいのかも知れない。
蒼は黙って椅子に身体を預けた。
なんだか大変なことになっちゃったな……そう思った。
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