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53.心に決める1
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安齋が朝一でやってきた次の日。
吉田は無事出勤してきた。
元気そうに照れ笑いしながらやってきた彼だったけど、なんだかやつれているように見えたのは気のせいなのか?
家政夫蒼はそういうところは見逃さない。
チャンスをみて吉田に問いたださないと。
安齋とどうなったのか?
まあ、様子を見れば上手くいっているってことは分かったけど。
どうにか吉田と二人切りになるチャンスを作ろうと悪戦苦闘した蒼だったが、結局失敗し、昼食の時間になってしまっていた。
お昼になると長老メンバーはテレビに釘付けだ。
お弁当を食べながら昼のニュースを見ている。
彼らは限りなく国営放送が大好きだ。
テレビにこだわりのない蒼にとったらどのチャンネルでもいい話だが、吉田は違う番組が見たいみたいで、自分の携帯を取り出した。
「あれ?吉田さんのテレビ見られるんですか?」
蒼はお弁当をしまって、向かい側にいる吉田を見る。
「うん。変えたんだ~。結構便利なんだぜ♪」
「へ~」
「蒼は機械音痴だから使いこなせないと思うけどッ!」
ざまあみろ、みたいな顔をしてから吉田はさっそくテレビを見る。
酷い言い草だ。
蒼は拗ねて食後のお茶に手をつける。
せっかく、昨日は心配してあげたのに。
安齋にまで飛び掛ってったんですけど?って言いたくなるけど、恩着せがましい。
やめておこう。
それに、あんなこと恥ずかしくて人には言えない。
今日の吉田は普通と変りなさそうだし。
いつもの昼休憩の風景。
星野たち喫煙組みは喫煙所に出て行ったし。
残っていた数名は思い思いに過ごしている時間なのだ。
しかし、今日の事務室はちょっと違っていた。
静寂を破って吉田の「ええええ~!??」という大きな声が響いた。
まったりした雰囲気の事務室は一気に騒がしくなる。
テレビを見ていた水野谷、高田、氏家は一斉に吉田を見た。
蒼も同様だ。
立ち上がって、驚愕の表情を浮かべている彼。
尋常ではない。
「な、吉田さん、どうしたんですか?」
「あ、あああ!ちょ、ちょっと!すみませんッ!」
吉田は携帯を放り出すと、テレビの前に走りこんでチャンネルを変えた。
「おいおい。吉田、おれたちが見ているんだぞ?」
さすがに水野谷はむっとしている。
しかし、彼はお構いなしだった。
「そんな場合じゃないっす!」
彼はチャンネルを次々に変える。
動揺しているのか。
手が震えているようだった。
「なんだ?何事だ?」
喫煙から帰ってきた星野と尾形も瞬きを繰り返していた。
この騒ぎは尋常ではない。
しかし、なにを騒いでいるかなんて蒼に分かるはずもなく。
彼は首を傾げた。
「さあ?」
「ああ、あった!」
そんなこんなしている間に、やっとの思いで吉田が探り当てた番組がテレビに映し出される。
それを見て、職員全員が固まった。
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