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55.Finale6
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結局、自分は自分。
人は人ってことか?
いくら親密な関係になったとしても、見ている世界、置かれている環境は違うわけで。
関口が遠くにいった訳ではないのか?
関口はいつでも自分の側にいる。
ただ、別な人間だから、ずっと一緒に行動するなんて出来ないってこと。
その一緒に行動できない時間がこれからちょっぴり増えるかも知れないってだけのこと。
ただそれだけのこと。
『なんだ。それだけのことか』
『そういうこと』
なんだか最初はしっくりこなかったけど、今なら分かる。
ショルティの言いたかったこと。
『分かった!おれ。変に考えすぎてた。何も変わらない。関口が有名人になっちゃっても』
『そういうことだね。おれも変わらないよ!蒼』
『へ?』
『おれだって。半年たっても何も変わらない。蒼のこと可愛いと思うし。蒼をこっちに連れてきたいな~って思う!』
また!
この男は……。
『あのねえ。ショル。おれはマスコットとかそういうんじゃないんだけど……』
『いいじゃん~。蒼を連れて世界中を旅してみたいな!』
『む~……』
ため息を吐く。
関口がムキになるのも頷ける。
この調子ではさすがの蒼もイラっとする。
『おなかすいた。食べようっと!』
『そうだね。冷めちゃった』
嬉しそうにしているショルティを見てからスープに手をつけようとしたそのとき。
「あああぁあぁぁ!!なななな、なんで!??」
はっとして顔を上げると、そこには関口一行。
彼の後ろには面々が揃っている。
「蒼!どこに行ったのかと思えば!どうしてこうなってんだ!!」
ぎゃ~っと大きな声を出す関口。
レストランの中はざわめいた。
ホールの近くで昼食を摂るとなると店は限られる。
必然的に同じ店になるのは仕方がないのだろうけど。
蒼はおろおろした。
「関口!し~~ッ!」
「そうだよ。圭。そんな大きな声を出したら、みんなの食事がまずくなってしまうではないか」
この天然オヤジに窘められるようでは終わっている。
関口はがっくり膝を付いた。
「終わりだ。おれの人生。終わりだ」
『やあ!圭。一緒にどう?わあ!関口も来ていたんだね。おやおや。こんなに勢ぞろいで。みんなでランチしよう!おれは午後も出番だから何か食べないとやってられないもの!ささ、こっち、こっち!』
手を振っているショルティ。
それに答えて嬉しそうに駆けていった人物は圭一郎だけだ。
一同は呆れて様子を見ている。
『ショル~!気が利くね。よし!みんなで食べよう!ささ!こっち!』
今度は手を振っている人物が2人に増えた。
「あたし、別なところに行こうかしら」
桜の言葉に、さすがのかおりも同意した。
「そうね。ちょっと、ここは蒼ちゃんたちに任せて」
『ミハエル、あっち行こう』
『了解』
せ~ので店を飛び出した3人をショルティと圭一郎は首を傾げて見つめた。
『なんだ?』
『変なの?』
「あ、あの!ちょっと!!」
ショックを受けている関口のところでおろおろしている蒼は途方にくれていた。
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