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60.おねだり10
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吉田への連絡はすぐに取れた。
「なにしてんだよ~。お前ら」
彼は笑顔だ。
この状況を楽しんでいるとしか思えない。
「吉田さん。貸してくれるならちゃんと鍵も貸してくださいよ」
圭は苦笑する。
吉田が蒼のアパートに来るのは初めて。
休日だったので彼が来るまでに少々時間が掛かったが来てもらったので助かった。
「だって。鍵はマンションだったし」
「だったら、貸さないでください」
「そんなこと言っちゃって。結局は使ったんじゃないか」
二人のやり取りを布団の中で聞いていた蒼。
「そんなのはどうでもいいですよ!吉田さん~!早く外してくださいっ!」
まごまごしている蒼。
「いい眺めだな。蒼」
「酷い……。吉田さんまで安齋さん化してますよっ!」
毛布から手だけを差し出して吉田を見つめる。
うるうるした瞳で見つめられると笑うしかない。
「はいはい」
彼は持ってきた鍵で手錠を外してくれた。
「良かった!」
「このまま仕事にきたらウケるよな」
「そういう悪い冗談は辞めてください」
ぶうぶう文句を言って、もそもそと着替える。
その間に吉田は「じゃあね」と玄関に向かって行った。
「あ、吉田さん。せっかくだし。お昼でも一緒に食べませんか?」
圭は急いで彼を追いかける。
「え?いいよ。二人の邪魔はしないから」
「そういうんじゃないんです。どっちにしろ、安齋さんは今日仕事なんでしょう?」
「うん」
本庁は週末が休み。
二人は休みが合わない計算だ。
「じゃあ、一緒にお昼食べましょうよ!」
蒼も慌てて出てくる。
ジャージを着てほっと一安心。
彼が急いでいたせいで、けだもも一緒になって駆けてくる。
「にゃ~!」
「なんだ?猫」
「こいつ、拾ったんです」
吉田は猫が好きらしい。
しゃがみこんで、けだもを持ち上げる。
「可愛い」
「にゅ~」
猫好きはけだもにも分かるらしい。
お客さんが来ると恐くてベッドの下に隠れてばっかりなのに。
今日は嬉しそうに喉を鳴らしている。
「吉田さんが好きみたいですね」
「そうなの?」
「いっつも知らない人が来ると逃げてくんです」
「ふうん」
嬉しそうにしているけだもを見て、彼も笑顔になった。
「そうだね。じゃあご飯でも食べていくか」
「よかった!」
蒼は手を叩く。
「じゃあ、宜しく」
「へ?」
肩を叩かれた圭。
「おれ?」
「そうそう。手料理ご馳走様」
蒼は笑顔。
そうだった。
今日は休みの日で自分が当番。
またしばらく留守にしなくちゃいけないから仕方ないか。
「じゃあ、どうぞ」
引きつった笑みを浮かべ、圭は二人と一匹を室内に案内した。
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