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61.関口家騒動5
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「家に寄っていくのだろう?」
ホテルから出たところで圭一郎に声をかけられる。
「え?帰るよ」
「なんで?せっかく来たのに」
別に実家に用事はない。
それよりも早く帰りたいと思った。
いろいろ考えたいこともあるから一人になりたかったのだ。
高塚が駅まで送ってくれるといっていたが、めんどくさいのでさっさと帰したばっかりだったのに。
「いいよ。別に用事ないし」
「つれないね~」
二人のやり取りを有田はおかしそうに見ている。
「おれなんかよりも自分が帰れよ。朱里のこと放置しているんだろう?だから不倫に走るんだからな」
圭は自分の妹のことを引き合いに出す。
「不倫!?」
圭一郎は知らなかったのか?
余計なことを言ってしまったかもしれない。
はっとしたが遅い。
彼はわなわなと震えていた。
「ま、まさかっ!朱里が不倫だなんて……ッ!」
「落ち着けって」
「これが落ち着いていられるか!」
彼はわ~っと大きな声を張り上げた。
失敗。
「相手は誰だ!家の可愛い朱里をたぶらかす不埒な奴はッ!!」
「そっちか」
結局、圭一郎にしたら悪者は相手の男なのだろう。
娘と言うこともあって朱里は可愛いらしい。
子どものころは少し、ヤキモチもあった。
自分よりも朱里のほうが可愛がられていたこと。
ぼんやりしていた圭は、彼に腕を引かれてバランスを崩す。
「わわっ!」
「一緒に来てっ」
「な、なんで!?」
「家族だろう?家族の問題が発生したときは家族でなんとかしなければならないのだ」
無理無理車に乗せられて焦る。
朱里に怒られるだろうな。
それじゃなくてもいまどきの彼女は苦手だ。
朱里も蒼くらい愛嬌があればいいのに……。
有田の運転する車に揺られ、圭はため息を吐いた。
ちらりと見た父親は黙り込んでなにかを考え込んでしまっているようだった。
この人にもモラルってものがあったのかと感心した。
芸術家だからなんでもありなのかと思っていたのに……。
どうでもいいことに思いを馳せていると、見慣れた自宅が視界に入った。
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