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61.関口家騒動8
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帰る途中、結局雨が降ってきた。
傘を開いてさっさと自転車を走らせる。
圭は帰っているだろうか?
打ち合わせは昼過ぎって言っていたけど。
圭一郎と逢えばそれだけで済まないことは察しが付いた。
きっと帰りは遅くなるに違いなかった。
案の定、アパートの自転車置き場に自転車を止めてから携帯を開くとメールが入っていた。
『少しトラブルがあった。もしかしたらこっちに泊まっていくかも知れない。心配することはない。実家にいる。また連絡する』
「まったく素っ気無いメールだね」
蒼はため息を吐く。
実家にいるなら安心だが。
トラブルってなんだろう?
首を傾げながら階段を上る。
メールのチェックだ。
珍しいことに吉田からメールが入っていた。
『お疲れ様。けだもの肉球を写メで送ってくれ』
意味不明だ。
吉田の猫好きは分かったが、肉球とか必要なのだろうか?
なんだかわざわざメールをしなくてもいいような内容に笑ってしまう。
階段を上りきって、携帯に視線を向けながら鍵を取り出す。
そして、玄関のところに来てビックリした。
「わわ!!」
腰が抜けた。
人がいたのだ。
女性。
小柄で可愛い子。
蒼の部屋の前にうずくまっている。
雨に濡れたのだろうか?
震えていた。
「は?え?」
誰??
蒼は瞬きをして彼女を見つめる。
少しうとうとしていた彼女は蒼の言葉に大きな瞳を開ける。
「よかった。ここだったんだ」
「は?あ、あれ??」
見間違いか?
瞳を擦って彼女を見つめる。
「キミ。圭の……」
「あんたのこと、待ってたの」
「……」
そこにいたのは圭の妹。
朱里であった。
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