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61.関口家騒動12
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結局。
圭一郎とかおりと圭と。
関口家ご一行様が到着したのは朝方の5時を回ったところだった。
「今からそっちに向かうから」と言う言葉。
なにで来るのかと思いきや、有田がくっついてきた。
彼も可哀相に。
関口家のプライベートまで駆り出されるのだからたまったものではないだろう。
よくよく話を聞くと圭一郎は車の免許を持っていないと言うことが発覚した。
一応、かおりは免許を持っているが十数年もハンドルを握ったことがないと言う。
来るときは圭が運転してきたみたいだけど、帰りは有田に運転をしてもらおうと言う魂胆だったらしい。
早朝だから静かにしてくれ!と思うが、圭一郎は一目散に駆けて来て、朱里を抱き締めた。
自分の感情が先にたって、彼女を傷つけてしまったと後悔しているようだった。
不器用なことには変りがない。
怒られるかと思って、ヒヤヒヤしていた朱里も、圭一郎の態度にはほっとしたのか、疲れも出て、帰る頃にはうとうとしていた。
雨がやみ、辺りが明るくなってくる頃。
騒がしい一団は帰途に就く。
取り残された圭と蒼とけだも。
なんだか妙に疲れてしまった。
「朱里が『お兄ちゃん』なんて呼ぶの久しぶりなんだけど……?蒼、なんの話してたんだよ?」
圭は蒼をじっくり見つめる。
「ん~。別に。秘密」
「なんでッ!?」
「なんでって。大した話でもないし。いいじゃん。もう」
「よくないよ~!」
そんなのは放っておいて欲しい。
さすがに疲れた。
少し呼吸が辛いから。
吸入でもして寝ないと。
「眠いよ~!」
豪快にベッドに飛び込むと、その瞬間に夢の中だ。
「蒼ってば!ちょっと!!」
一人取り残された圭。
なんだか腑に落ちない。
あんなに反抗期で関口家の悩みの種である朱里。
彼女が素直になるなんて、どんな心境の変化があったのか知るよしもない。
「蒼ってば……」
ゆさゆさと肩を揺すってみても彼は起きる気配がなかった。
これ以上は無駄だろう。
仕方ない。
今日は圭も疲れた。
東京での打ち合わせ。
それから朱里の家出に捜索活動。
自分の家族ながら、もう勘弁してくれと思う圭であった。
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