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62.棲み家4
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「どうする?」
帰りの車の中。
圭の言葉にはもう決心の意味を感じた。
もう彼は決めているのだろう。
蒼は苦笑する。
「いいんじゃないの?気に入っているんでしょう?」
「いいの?」
圭が決めればいい。
そういいかけたけど。
きっと彼は蒼からちゃんとした同意が欲しいのだろう。
軽く笑ってから圭を見る。
「うん。いいよ。おれもいいと思う」
「本当!?」
子どもみたい。
本当に嬉しい様子だった。
あのアパートを脱出するとしたらどこか物件を購入するしかないのだ。
それがマンションになるか一戸建てになるかの違いだ。
蒼からしたらなんとなく安全圏であるマンションを選びたいような気もした。
でも、今日の圭の様子を見ていたら自分も嬉しくなったし。
それに断る理由もない。
蒼は大きく頷く。
「いいよ。決めようか。あの家に」
「よし!」
圭がここまではしゃぐのは珍しいことだ。
なにが起こるかわからないけど、決めるのもいいことなのかも知れない。
蒼はそっと窓の外に視線を向ける。
あの辺りだと、星音堂にも自転車で通えそうだし。
ちょどいいのかも知れない。
駅にも近くなるから。
飲みにもいけるかな?
駅の側の駐車場もいらないかもしれないな。
いろいろな思いが脳裏を駆け巡る。
「ま、いっか」
そう呟いて、蒼は圭を見つめた。
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