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66.スコア7
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「でかしたぞ!蒼!!」
翌日。
星野に楽譜を手渡すと、彼は満面の笑みで蒼を褒めた。
「で、どうやった?色仕掛けか?」
「んなことするわけないじゃないですか」
呆れてしまう。
「正直に理由を話したら面白そうだって言ってくれました」
「ちぇ~」
星野は悪態をつく。
「つまんねーな。お前ら」
「ど、どういう意味ですか!!」
「もっと修羅場になるかと思ったのによ」
「星野さん!おれたちの関係を悪化させようとしただけなんですか!?」
む~っとしてしまう。
しかし、星野は相手にしない。
「どれ。さっそく昼休みにオークションに出してみっか」
「ちょ、ちょっと!星野さん!」
わ~わ~騒いでいると、水野谷がやってきて星野の手から楽譜を没収した。
「わ!課長!!」
「星野!!お前、公務員として勤務時間中、休憩中であってもそんな売買を行うような行為をするとは何事だ!!」
「聞いてたんですか!?」
「そんなでかい声で相談していたら聞きたくなくとも聞こえるぞ!」
「相談って!!」
蒼も仲間?
きょとんとしていると水野谷に怒られる。
「蒼も蒼だぞ!関口の楽譜なんか持ってきて」
「お、おれですか?」
昨日はあんなに話に混ざって乗り気だった吉田なんか知らん振りをしている。
それなのに。
いつのまにか蒼が共犯。
「お前以外にいないだろう?関口から楽譜をもらってこられるのは。一緒に住んでいるんだから!」
「わ~わ~!そんな大きな声で……」
はっとしたが遅い。
側にいた三浦は瞬きをして蒼を見ている。
「蒼ちゃん、その関口って人と一緒に住んでるんすか~?」
「いわゆる同棲ってヤツだよな。同棲」
氏家もおかしそうに笑う。
せっかく。
せっかくバレないために星野の悪事に加担したのに。
これでは身も蓋もない。
悪事はバレ、同棲もバレ。
なにもかもオープンになる。
「ど、同棲!!?」
「なにも驚くことはないだろう?いい大人だ。恋人なら一緒に住んでも……」
「尾形さんッ!!なに言ってくれちゃってるんですか!」
蒼は怒り出す。
「わ~、蒼が怒った!」
「茶化したってダメです!!あなた方は……本当にデリカシーがないんですから!ちょっとは遠慮ってものを覚えてください!」
「まあまあ、蒼。そんなに怒らなくても」
逆になだめようとする課長を蒼は睨む。
「元はといえば課長が悪いんですからね!課長なんて嫌いです!顔も見たくありません!」
「ひ、ひどい。蒼」
「あ~!蒼がとうとう言っちゃった!」
騒ぎに乗じて、三浦は吉田のところに行く。
「吉田さん」
「なに?」
「関口って人、綺麗な人なんっすか?」
「ぶ!」
吉田は噴出す。
「そっか」
そうか。
関口が男だと彼は知らない。
だったら黙っておいたほうがいいのかも知れない。
「さあねえ」
「いやあ、おれビックリです。蒼ちゃんが女性と同棲しているなんて。そんな風には見えないし」
「そんな風って。お前、失礼だよ」
「そうですか?」
水野谷と尾形を追い掛け回している蒼を見て、吉田は苦笑する。
「悩みが絶えないねえ。蒼くん」
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