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67.家出1
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「は~……」
でっかいため息。
今日、何度目だろう。
痺れを切らした星野が大きく息を吐いて蒼を見る。
「なんな訳?」
「え?」
本人は気が付いていないのだろう。
瞬きをしている。
「お前ねえ。朝からため息多すぎるっつーの!」
他の職員も同感なのだろう。
吉田に至ってはうんうんと頷いている。
「どうしたんです?いつもの蒼ちゃんらしくないですね」
三浦も同意した。
「す、すみません。みんなの邪魔をしていましたね。気を付けます」
「今更、気を付けられても困るんだよねえ」
星野は蒼の腕を引く。
「ほら。来いよ。聞いてやるから」
「あ、あの、星野さん……」
がたがたと音を立てて二人は出て行く。
黙って見ていた水野谷はそのまま仕事に戻る。
こういう時は引き止めない。
星野に任せるに限る。
「尾形、そういや先日の件はどうなったんだっけ?」
ふと思い出して声を上げる。
「え!え、えっと。あの」
「おいおい。蒼のため息で出来てませんなんて言い訳は通用しないんだからな」
「げえ~」
とばっちりを受けては適わない。
他の職員たちは視線を下げてそそくさと仕事に戻った。
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